前回、ウイーン・ブリッジ発振回路を嗜んでみました。ちょっとゲイン大き目にするとオペアンプの振幅振り切って正弦波の頭が平らになってしまうし、ちょっと小さくすると今度は発振とまってしまう(振幅不安定)ということで調整無理やりでした。今回はそれをダイオード2個と抵抗一個追加してゲインを自動調整、これはAGCってことかい。
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ウイーン・ブリッジ発振回路にAGC
前回参考にさせていただいたCQ出版様の以下解説記事でもウイーン・ブリッジ発振回路のゲイン調整の問題については語られていました。
上記では以下の回路図ではボリュームVR1と抵抗R3のところにMOSFET1個とダイオード、抵抗、コンデンサ各1個でAGC回路を構成し、ゲインを自動調整して振幅が振り切れないようにしてます。さっそくパクらせていただいてAGCと思ったのですが、積読の御本の中にもっとお楽な方法を見つけてしまいました。以下です。
上記の御本でのアイディアは、R3ではなくR4にパラにゲイン調整用の回路を挿入するものでした。ゲインはR4とR3で決まるのでどちらを操作しても良いと思いますが、この調整用の回路に、
バックツーバックのツエナーダイオード
を使っていたのがツボにハマりました。ちょうど以下の別シリーズで、バックツーバックのツエナーダイオードの特性を測ってます。
部品屋根性(93) Zener ダイオード、Back to Back、どっち向けても同じ?
そこで使ったツエナーダイオードを流用すればダイオード2個と抵抗1個、それもただシリアルに接続するだけでAGCになる筈。お楽。
実際に、前回使用のブレッドボードの「隙間」に回路を追加してみました。抵抗1つ、ツエナーダイオード2つ、たまたまここに入るなと見つけた空き地にスッポリと。こうもピッタリ入るととても嬉しいです。
なお、今回BZX55C2V0はツエナー電圧2V品です。別シリーズで測定したバックツーバックのツエナー構成のときのIV特性が以下に。だいたい絶対値で2V付近までは電流を通さず、それを超える電圧がかかるとゆるゆると電流を流します。
これを使えば出力振幅がこれを超える場合にゲインを頭打ちに自動調整できる筈。
実機実験結果
前回だと、完全にオペアンプの振幅を振り切って頭が平らになっているハズのVR1の値を小さく(ゲインは大きい方向)振り切った場合の波形が以下に。
今度はVR1の値を大きく(ゲインは小さい方向)にかなり回転させた波形が以下に。VR1は精密で多回転なので、10回転以上の範囲で発振が安定しています。
前回の無理やり調整不要。AGCでバッチリだね。ホントか?