前回、第2部第5章に突入を記念して、アナデバ様がご自身で高精度OPアンプの「ゴールドスタンダード」だとおっしゃるOP177を発注いたしました。以前から気になっていたのですが、OPアンプ大全のそこかしこに登場するデバイスであります。アナログ素人の年寄には猫に小判かと思ったのですがつい買ってしまいました。
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
『5-1 高精度OPアンプの直流誤差の解析』とOP177
今回読んでおります5-1では、「代表的」単電源OPアンプの特性を特性を論じるのに、「ゴールド・スタンダード」(両電源)のOP177をもちだして、それと比較しているのです。ま、当然といっちゃなんですが、単電源の奴らと比べるとOP177は傑出してます。ま、両電源±15Vだし。
さてその「ゴールド・スタンダード」OP177ですが、ちょっとLTspiceでシミュレーション回路図を描こうとして引っかかりました。アナデバ様の製品ページが以下に。
当方が今回購入させていただきましたのは、OP177でも「ややお求めやすい」側の製品でないかと思われるOP177Gです。上記ホームページからダウンロードできるデータシートは、OP177FとOP177Gのためのもので、FとGそれぞれについて電気特性などの記載があります。スペックみるとFの方が良さげです。
しかし、LTspiceのライブラリ上、デフォルトでインストールされているのはOP177Aというバージョンです。FとGが違うくらいだから当然特性異なるのでしょう。ただ、当方購入のOP177G対応のモデルは含まれてません。
上記のホームページを漁ると、OP177用のSPICE Modelとして、なんと6種類も置かれてました。
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- 無印OP177
- OP177A
- OP177B
- OP177E
- OP177F
- OP177G
OP177Gの場合は、OP177G用のモデルを上記からダウンロードすればいいみたいです。しかし今回は購入したOP177Gに「火をいれる」だけなのでLTspiceシミュレーションは見送り。めんどかっただけ。
「火入れ」の回路図はOPアンプ大全で「直流誤差の解析」で使っていたのと同じ、以下の100倍反転増幅回路です。別に誤差解析などやろうなどと猪口才なことは考えておらず、ただただ100倍増幅できとることを確認と。
しかし何です。「火を入れる」という表現。年寄くさい。私は新入社員のときから半導体会社だったので、真空管に引きずられたわけではないんだけれども。上の世代は半導体不足のことも「玉切れ」(IC・トランジスタは石と表現するけど、真空管は玉といっていたのと、真空管が「切れる」故障、在庫が「切れる」のを掛けた掛詞でなかったかと。)などと言っていましたな。
実機動作確認「火入れ」
OPアンプ大全では、±15V電源で、100mV振幅入力、10V出力で論じてましたが、Analog Discovery 2 で実験している都合上、±5V電源なので、入力の振幅を10mVまたは20mVとして出力が振り切れないようにしています。
ブレッドボード上に組んだ回路が以下に。
まずは、振幅10mV、1kHzの入力波形(黄色C1)を入力したときの出力波形(青色C2)の様子が以下に(C1とC2の縦軸は異なります。)
ちゃんと100倍増幅できているみたいで良かった。なお周波数が低ければOP177は1000倍増幅でもへっちゃらそうなスペックです。
ぜんぜん直流誤差考察してないけど、火入れはできた。