定番回路のたしなみ(33) NPNトランジスタ2N3904でエミッタ・フォロワ

Joseph Halfmoon

前回前々回とバイポーラトランジスタでエミッタ接地増幅回路を嗜みました。エミッタ接地増幅回路は増幅はしてくれるものの欠点もあり。結構ヘタレ?で、ちょっと負荷が重くなるだけで振幅がしぼんでしまいます。そんなときにもう一段、エミッタ・フォロワを使えばちょっと負荷が変わっても振幅はそのまま、頑張って電流を流してくれるっと。

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エミッタ接地増幅回路の弱点

エミッタ接地増幅回路の弱点をつぶらに眺めてみるために、前々回のLTspiceシミュレーション用回路図を取り出し、負荷抵抗Rloadの値をパラメータにしてみました。負荷が重くなる(負荷抵抗の値が小さくなる)とどうなりますかい?EmitterCommonRLcircuit

シミュレーション結果が以下に。赤色が負荷が「軽い」100kΩのときで、増幅率が約4倍(RCとREの抵抗値からは約4.5倍が期待値)。黄緑色が負荷が最も重い1kΩの時です。入力電圧が100mV振幅なので、入力の振幅を下回ってしまっています。EmitterCommonRLsim

増幅効果はあるとは言え、こうもヘタレでは。。。

エミッタ・フォロワ回路

さて、そこで登場するのがエミッタ・フォロワ回路っす。上記のよわよわな出力をそのまま負荷の駆動に使うからイケないので、上記の先に「負荷の変化にへこたれない」回路を取り付けようという感じです。

同じく2N3904を使ったエミッタ・フォロワ回路のLTspice回路図が以下に(テキトーな定数です。)

EmitterFollowerRLcircuit

エミッタ・フォロワの場合、増幅率はほぼほぼ1なので、入力波形と出力波形はほぼ一致するハズ。その代わり、負荷抵抗に流し出す電流が多くなってもちょっとやそっとではへこたれね~と。

シミュレーション結果が以下に。EmitterFollowerRLsim

負荷抵抗の値を3種類取り替えてみてますが、「だいたい」同じ振幅デス。

エミッタ・フォロワ回路(実機)

前回は手を抜いて、シミュレーションだけで終わってしまったので、今回は実機回路も動かしてみます。ブレッドボード上に組み立てた回路が以下に。EmitterFollowerBB

C1(黄色)がVin信号、C2(青色)がVout信号を見ています。右側にC1、C2の振幅と周波数が表示されているので数値で確認できます。なお、入力には1kHz、振幅200mV、オフセット0Vの正弦波を入れてます。

まずは負荷抵抗10kΩのとき。Vin、Voutはほぼ重なっているので、黄色は良く見えないデス。EmitterFollowerBBRL10k

つづいて負荷抵抗1kΩのとき。電流的には10倍流れている筈ですが、オシロ画面からは重なったままに見えます。数値をみると微妙に振幅落ちていることが分かりますが。EmitterFollowerBBRL1k

負荷抵抗を330Ωにさらに下げました。微妙にVin信号のピークあたりが見える感じになってきましたが、まだエミッタフォロワ回路は粘ってますな。EmitterFollowerBBRL330

以下は負荷抵抗220Ωとな。右側の数値データであれば振幅が約10%くらい落ちています。負荷が重くなっているのは確か。でも波形的にはまだまだ頑張っている?ホントか?EmitterFollowerBBRL220

エミッタ・フォロワ、頑張るな。

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