オペアンプとダイオードを使えばカッコいいピーク検出回路をつくれますが、ダイオードだけではどうしてもVF分の電圧降下が見えてしまうっと。このところ「ビヘイビアな」SPICEモデルを動かしてみているので、ダイオードのモデルに「介入」すれば、VF分電圧降下しないピーク検出回路ができるんでないかと。勿論ビヘイビアだけれども。
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※ Analog Devices, Inc. LTspice XVII(x64) (17.0.36.0)を使用させていただいて動作確認しております。
ピーク検出回路
オペアンプとダイオードとコンデンサを使ったピーク検出回路とオペアンプ抜きのダイオードとコンデンサのピーク検出回路については、以下のCQ出版社様のページが勉強になります。現実の部品を前提にLTspiceしてるページです。
上記のページにも書かれてますが、「ダイオードとコンデンサだけのピーク検出回路」では、ダイオードの電圧降下分が見えてしまい、実際に保持できるピークの値は小さくなってしまいます。ま、それでオペアンプ使ってということになるわけです。
しかしこのところ当方「ビヘイビア」なモデリングづいています。ダイオードのダメなところ、VF分電圧降下があるところを「つぶして」やったらいい塩梅の回路になるんじゃないかと。
ビヘイビアなピーク検出回路
そこで実験のために作成した回路が以下に。前回使用したビヘイビアなモデルの使いまわしです。乱数でBin1にランダムな電圧を作りだし、Yに保持している電圧よりも高かったらYを更新するという「ロジック」です。
ここで、キモになるのが、DIDEALというダイオードモデルを参照しているD1です。DIDEALモデルは以下のようなもの。
.MODEL DIDEAL D(N=0.001)
ホントはダイオードのモデルパラメータはこんな少なくないのですが、何も書かないとSPICEはデフォルト値をアサインしてくれます。そこでN(エミッション係数)のみをN=0.001などという不埒な値に書き換えてます。ここを書き換えたらほぼほぼ電圧降下のない「理想」ダイオードになるというのは、例の教科書のお陰で知りましたです。
さて、上記回路のビヘイビアな挙動が以下に。黄緑がランダムな電圧入力、赤が「ピーク検出」された値です。
いかにも人為的な波形が現れましたな。予定通りだけれども。
リアルなダイオードを使ったらどうなるか?
ちょっと興味があったので、上記の「理想ダイオード」を現実の(といってもSPICE上のモデルですが)ダイオードに置き換えてみました。手元にも在庫ありの小信号用ダイオード1N4148です。回路はこんな感じ。
実際にはもっとリークもあるだろうし、上記の波形も「計算上の」波形だけれども。SPICEの計算する波形に戯れているな。