SPICEの小瓶(36) BVエレメントで、ビヘイビアな周波数倍周器を

Joseph Halfmoon

ひとたびビヘイビアだと割り切ってしまうと、タガが外れてしまった感じであります。前回は現実には存在しない理想ダイオードをでっち上げてピーク検出やりました。今回は高校生の数学を「駆使して」周波数の倍周器です。そのうち自前でPLLつかった周波数逓倍回路もやりたいと思っているのですが、とりあえず倍ね。ビヘイビアだけども。

※「SPICEの小瓶」投稿順インデックスはこちら

※ Analog Devices, Inc. LTspice XVII(x64) (17.0.36.0)を使用させていただいて動作確認しております。

周波数の倍周器

今回作る(というより「でっち上げる」の方が適切か)のは、入力周波数を倍にして出力する倍周器です。発振器を内蔵するPLLなどとは大違いっす。使用する原理?が以下にDoubleAngleFormula

とっくの昔に忘れている高校数学(中学じゃなかったよね)の知識では「2倍角の公式」ってことでよかったでしたっけ。

まあ、x=2ωt の正弦波があれば、2x=4ωt の余弦波が算術的に求まるというもの。このところ愛用させていただいておりますLTspiceのエレメント

Arbitrary Behavioral Voltage Sources

を使えば、上記のような計算など赤子の手をひねるもんだと。コンプライアンス必須の世の中、例えが良くないか!

ただし、この倍周器、使用には以下の制限を想定しとります。

    1. オフセット0V、振幅1Vの正弦波(入力は余弦波でもよい、位相は御随意)を入力すると倍の周波数の余弦波(位相は90度ずれる)が出力される
    2. 振幅が1Vでなかったり、正弦波でないときは、どんな酷いことになるかは知らんぞなもし。
テスト用に作成した回路

テスト用に作成した回路が以下に。ほぼ同じものが上下に並んでいるのは、上側が想定どおり正弦波を入力して、倍の周波数の余弦波が得られる様子を観察するためのもの。下側が、上記の制限を無視して、三角波をいれたらどうよ、と挑戦するものっす。DUTschematic

シミュレーション結果

LTspiceによる「ビヘイビアな」シミュレーション結果が以下に。

DUTwaveform

上の方が、正弦波いれて倍の周波数の余弦波を得るもの。こちらは予定通り「倍周器」してて良かった。下の方が、三角波(青色)入力したらどんなことになってしまうか、の件。周波数的には倍になっているので「倍周器」と言えないこともないデス。けれども波形はちょっと違う(でも意外と三角。)

SPICEの小瓶(35) 理想ダイオードでビヘイビアなピーク検出 へ戻る

SPICEの小瓶(37) 右クリックの小技、.op に .meas がお楽になる? へ進む