定番回路のたしなみ(39) MOSFET、ソースフォロワ回路でアナログ・レベルシフト

Joseph Halfmoon

元よりアナログ素人のボケ老人、夏の間あまりアナログしていなかったので忘れたのか最初から知らなかったものか良く分かりませぬ。もう一度トランジスタレベルからやり直さないとならんかの。そういうことで今回は、MOSFETのソースフォロワを練習してみます。「どさくさ紛れ」にアナログ信号のレベルシフトをしている奴。なんだかな~。

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ソースフォロワ

MOSFETを使ったソースフォロワ回路は、入力波形がほぼそのままの波形で出力に現れる、電圧増幅効果のない(それどころか微妙にゲインが1倍より多分小さい)回路であります。バイポーラトランジスタではエミッタフォロワという回路に該当します。ま、その代わり電流駆動能力はある、っと。

アナログ素人のボケ老人が、ゴタクを並べていてもせんないので、以下のURLの資料などをお読みくだされ。

群馬大 小林先生 講義資料 『アナログ集積回路 基本回路(1)』

Electrical Information様 【ドレイン接地回路(ソースフォロワ)】特徴・原理ついて

CMOSアナログ的な雑記様 レベルシフト回路(レベルシフター)の構成まとめ

今回は、入力波形がほぼそのまま出力に現れる、といいつつ、信号電圧のアベレージに小細工をしてみます。

入力は0Vを中心に上下に「振れてる」波形、音声とかビデオ信号みたいな奴を想定デス。そのままでは負の電圧領域にまで飛び出しているので、基本0Vから5Vもしくは0Vから3V系電圧で動作していることが多いマイコンのADコンバータには入力不可です。そこで、正の電圧領域で「振れてる」波形に変換するのに「とりあえず」ソースフォロワ回路を使ってみた、と。

まあ、いろいろあるので後でオペアンプ使った回路をADには取り付ける予定ですが、とりあえずソースフォロワ回路でも正の電圧に持ち上げるのはOKと言う感じでしょうかね。ホントか?

まずはLTspice

まずは今回実験に使った回路の過渡応答をシミュレーションしてみます。使用したMOSFETはNchのBSS138です。これは表面実装の小さなパッケージ品のトランジスタなのですが、手元に在庫が多数あり、実験しやすいというだけの理由で採用。また使っている抵抗など全て同じ値っす。まあね、テキト~、設計などしてません。なお、LTspiceにはBSS138のMOSモデルパラメータは含まれていないので、大分以前にどこぞで手にいれたマクロモデルを使ってシミュレーションしてます。TRANcircuit

以下がシミュレーション結果の波形です。黄緑色のオフセット0V、振幅500mV、周波数1kHzの正弦波波形が入力Vinです。C1でDCカットして、R2とR3ので電源電圧の半分2.5Vオフセットで振動するようにした波形が灰色のI0ノードの波形です。それでBSS138のソースフォロワを通して得られたVout波形が赤です。TRANresult

微妙に位相がズレてるけど、遠くから見た波形は同じようです。

念のためAC特性もみておきます。以下のように .tranをコメントアウトし、.acの方を活かせばOK.ACcircuit

結果が以下に。350Hz付近より下でのゲインが下がっているのは、DCカット用のC1のコンデンサのせいです。それ以外ではシミュレーション上はほぼ0dBね。C1の容量をもっと大きくすれば低い周波数まで通るようになりますが、今回実験では「目の前にあった」0.1uFを使ってしまったので、下の方が伸びてません。ACresult

 

現物回路で動作確認

さて、LTspiceでシミュレーションかけた回路図、ほぼそのままの回路をブレッドボード上に組み立てたものが以下に。

SRC_FOLLOWER_BBupd

動作波形を観察したものが以下に。黄色C1が入力波形、0Vオフセット、約500mV振幅の1kHz波形です。右側の測定値みるとほぼほぼ目論見通り。

青色C2が出力波形です。入力は0V中心に正負に振れていたのが、出力は1.40V付近を中心に振れてます。ピークツーピークの振幅は約0.91Vと入力からみると10%くらい落ちてます。SRC_FOLLOWER_DUT_WAVE

一応目論見通りかね。大丈夫か?

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