別件シリーズにてコンデンサをスイッチングして昇圧する回路を実習。同様な方法で高電圧でも負電圧でも自由自在?でもディスクリート部品で作るのはメンドイ。だいたいアナログ素人の老人ではまともな電源になりそうにない。さてそんな「よゐこ」(誰が?)のためにスイッチト・キャパシタ方式のDCDCコンバータチップが存在します。お手軽?
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昇圧回路を実習したのは以下の別件シリーズです。
定番回路のたしなみ(41) コンデンサ+ダイオード、コッククロフト・ウォルトン回路で昇圧
控えめに「だいたい2倍」の昇圧を実験。原理は簡単だけれども実用には程遠かったです。しかしダイオードなど使わずスイッチとキャパシタで昇圧/降圧、DCDC変換を行うタイプのチップが各社から出てます。肝心の発振とスイッチングのところはチップ内部で行ってくれるので、コンデンサを外付けするだけで所望の電圧が得られます。今回は入力電圧を「正負ひっくり返した」負電圧を生成してくれるスイッチト・キャパシタ方式のチップを実習してみます。
LTC1144
ざっくりこのチップの典型的動作を説明するならば、正の電圧、たとえば+5Vを入力したら、負の電圧-5Vが出力されるチップです。分かり易いね。外付け部品はコンデンサ2個です。お手軽。
複数社から同様なデバイスが入手可能ではあるのですが、今回はアナデバ様のLTC1144を選択。まあね、アナデバ様に「忖度」した結果であります。LTspiceでシミュレーションしたかったから。LTspiceには多分漏れなくLTC1144モデルが付属しており、クリクリしていくだけで標準的な「負電圧コンバータ」のマクロモデルを呼び出すことが可能です。とってもお楽。
まずはLTspiceシミュレーション
以下のLTspice回路図は、LTspice付属のマクロモデルを勝手チョイ変かけたものです。
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- 入力電圧をパラメタライズ、3Vから12Vまで1V置き
- 負荷抵抗は1kΩとした
標準では内蔵の10kHz発振で動作するみたいです。しかし10kHzだと「可聴域」にかかっているのでオーディオ向けなどではちょっと、といことでBoost端子を使うと10倍の周波数にもできるみたいです。また、OSC端子を外から操作すれば発振周波数を遅くさせることもできるみたい。SHDNを使えば動作を止めて低消費電力状態にできるようです。今回の実験ではこれらは使いませぬが。
さてシミュレーション結果が以下に。一番上の黄緑が入力電圧3Vの時の線、一番下の紫っぽい線が入力電圧12Vの時の線です。
微妙に符号反転とはいかないけれども、5msも経たないうちに安定しているみたい。
実機動作を観察
上記回路をそのままブレッドボード上に組んでみました。こんな感じ。
Channel1が入力電圧、Channel2が出力電圧です。だいたい符号反転している?そういえば負荷抵抗忘れとるがや。。。