アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』の2024年3月号(和文版)実習初回です。今回は負荷抵抗の代わりにLC共振回路をコレクタに接続した同調増幅器(ディスクリート・トランジスタ使用)です。共振周波数のところでグイーンと増幅率が上がるアンプです。アナログ素人の老人はアナデバ様のご指示に従うのみ。
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※今回から実習をさせていただく、アナデバ様の記事が以下です。「久しぶり」に力が入っている感じの記事です。お惚け老人はついていけるのか?
まずはLC共振回路のCを求めよと
まずは高らかにLC共振回路の共振周波数FRを求める式が掲げられております。
ここで目標のFRは500kHz、そして使用するLは100μHと指定があり、Cは自分で計算しろ、ってことみたいです。多分、中高生なら一撃の計算かもしれませぬ。しかし、お惚け老人にはこの計算辛いっす。そこで、別シリーズにていつもお世話になっておりますMaxima様を起動。割鶏牛刀の類ですが、Maxima様に計算していただきます。こんな感じね。
上をみると、1nFにすれば「だいたいOK」だと。一応、検算もしておきます。LとCからFRを計算してみるとこんな感じ。
だいたい500kHz。検算OKよな。
最初はシミュレーションをせよと
続いては、回路の挙動をLTspice使って確かめとけ、ということみたいです。お惚け老人が入力したLTspice回路図が以下に。L1とC1のところが上記で計算したLC共振回路の定数ね。
上記をAC解析するのですが、一応気になっていたのがQ1のコレクタ電流を5~10mAくらいになるように、R1、R2決めろ(R3は100Ω固定)という件です。本文中には答えは有りませんが実体回路図みたらバレバレです。バイポーラトランジスタのバイアス回路の深みにハマることなく、丸写し。いいのかそんなことで。
下図の下のマーカのところをみると動作点は5.79mAということなのでOKだね。カンニングだし、あたりまえか。
さて、ACシミュレーションの結果が以下に。緑の実線が振幅の周波数応答であります。
だいたい500kHzのところに鋭いピークがあり。予定どおりか。
実機回路で確認
あんまり元気にピークが出ると扱いに困るので、SPICE回路図のC2とVinの間に実機回路ではRsを挿入しておけ、とあります。テキトーな計算にてRs=4.7kΩとしてみました。
また、RLについては以下の4ケースを実験せよ、ということなので、実機の右下の方に100k, 10k, 1kのプルダウン抵抗を並べてあります。これをジャンパ線で飛ばせば各ケースの実験がOKのはず。
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- 1MΩ、これはCH2の内蔵する抵抗とするので、何も接続しない
- 100kΩ
- 10kΩ
- 1kΩ
いつものようにブレッドボード上に組み立てた「同調」アンプ(NPNトランジスタは2N3904使用)が以下に。なお、記事では±5V両電源で10V電位差で実験するようになっていたのですが、10V電位差だと電流流れすぎることがあったので、実機では±4V両電源で8V電位差にしてしまいました(シミュレーションをやりなおさんのかい。)
まずは負荷抵抗なし(CH2内蔵1M相当)の周波数特性が以下に。28dBを超えとります。
つづいて負荷抵抗100kΩの場合、28dBを僅かに下回りましたの。
まだまだ実験もシミュレーションもあり、課題もあるけれど、それは次回ね。