お手軽ツールで今更学ぶアナログ(186) トランスの周波数特性、1:2と2:1

Joseph Halfmoon

アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』の2024年2月号(和文版)実習2回目です。前回はトランスを1:1構成にして周波数特性を測定。1:1です。「ほぼほぼ平らな」特性でした。今回は1:2(昇圧)とか2:1(降圧)構成を実習せよと。しかし、測定例のグラフに申し上げたき儀これあり、恐れ多いですが。

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※前回につづき、今回も実習させていただく記事(和文)へのリンクは以下です。

ADALM2000による実習:トランスの周波数特性

今回は上記記事の後半の実習です。なお、記事末尾のQuizに対する回答記事(英文のみ)へのリンクが以下に。

February 2024 StudentZone Quiz Solution

1:2昇圧、2:1降圧の構成

実習に使用してます、ADALP2000 アナログ・パーツ・キット所蔵のCoilcraft社製Hexa-Path Magneticsコイルは、電気工学実験に最適?なパーツです。テキトーに結線すれば1:1だろうが、1:2だろうが、いろいろな巻き線比のトランスを作れると。前回1:1を練習したので、今回は1:2とか2:1を練習してみよとの思し召しです。「単位コイル」のインダクタンスの異なる2種類のパーツを使ってです。

    • HPH1-0190
    • HPH1-1400

回路を接続するにあたって、2次側の抵抗RLの値をインピーダンスマッチングの式を使って「適切な値を計算してください」とご指示があります。でもご指示の前に掲載されている図6の実体回路図にお答え書いてありますぜ。バレバレ。まあ、忘却力の年寄でもなんとか暗算できそうな範囲だけれども。

なお前回同様、図5の結線図通りにすると逆極性となります。振幅見るだけなら正でも逆でもいいけれど、位相もプロットすることになっており、ご指示に従えば0°を中心にして前後180°をプロットする形になると思うので、同極性の方が見やすいっす。そこで、前回同様、勝手に結線をヒックリ返してます。

恐れ多いことだが申し上げたき儀これあり

前回1:1のときの周波数特性のグラフ図4について、配線図の結線の極性とグラフの位相が逆でないのという疑惑を投げかけてしまいました。しかし、今回の1:2昇圧のときのグラフ図7はさらに変です。昇圧なのでリファレンスに対して「ほぼほぼ2倍の振幅の波形」が見えるはず。実際前回の1:1のときは0dB付近でほぼほぼ横1直線の振幅特性が観察できたので、1:2の今回は6dB付近でほぼほぼ横1直線になる筈。けれど図7は、もっと込み入った特性のグラフっす。アナログ素人の年寄は困りました(もっと言うと前回の図4こそ、同極性の1:2昇圧のときの特性であるように見えます。)

当方の測定結果

正極性にするために勝手に配線をひっくり返した上に、上記のような疑問もありつつの測定結果が以下に。

まずHPH1-1400使った1:2結線の昇圧の特性が以下に。

HPH1_1400_1_2

 

 

HPH1-0190使った1:2結線の昇圧の特性が以下に。

HPH1_0190_1_2

 

HPH1-1400使った2:1結線の降圧の特性が以下に。

HPH1_1400_2_1

 

HPH1-0190使った2:1結線の降圧の特性が以下に。

HPH1_0190_2_1

上記をみると、一応、昇圧、降圧しとるように見えますがな。元記事のグラフが気になるけれども。。。

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