アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』の2024年6月号(和文版)、なんと4回目です。前回までオペアンプ1個のアクティブフィルタを実習してましたが、今回はオペアンプ3個を使うバンド・ストップ・フィルタです。でもね、ちょいと使用するオペアンプの個数に問題あり。「ちょろまかし」てます。
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※学生でもないのに勝手に実習をさせていただいておりますアナデバ様の記事(日本語版)が以下です、と書きながら気づいてしまいました。
ADALM2000による実習:アクティブ・フィルタ【Part 1】
上記のURLをたどると、アナデバ様の日本語記事に到達する筈がリンク切れてます(2024年8月3日現在。)アナデバ様のStudentZoneへ見に行くと、なんと2024年5月号の時点に戻ってます。先月、アナログ素人老人がうかがったときには、6月号(和文)、7月号(英文)が掲げられていたハズなのですが、2か月分巻き戻っている感じ。。。
「復活の日」を待ちたいと思います。
アクティブ・バンド・ストップ・フィルタ
さて「アクティブ・フィルタPart1」の実習の末尾に登場するのは「バンドストップ」フィルタです。バンドリジェクトとか、バンドエリミネーションとかいろいろ言い方はあるような気がします。知らんけど。
ぶっちゃけ、ある周波数範囲のみに意地悪?して凹ませ、「その下」や「その上」を通過させちゃう奴です。それを行うため、LPFとHPFの2つのフィルタを独立に通してから結果を加算してまとめるということをしているみたいっす。それでオペアンプ3個が必用とされるのが今回練習の回路です。
アナデバ様の記事によるとOP37を3個使えというご指示です。しかしここでちょいと困りました。基本、記事はアナデバ製学習用部品キット ADALP2000 所蔵の部品を使って実習することになってます。しかし「お品書き」には以下のようになってます。
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- OP27 … 2個
- OP37 … 2個
OP37、2個しか入ってないじゃん。別途購入している時間もお金もないので、手元のOP37の2個にOP27を1個加えて「お茶を濁す」方法を考えました。
まずは3個OP37でシミュレーション
上のOP37がHPF部分、カットオフ周波数を計算すると159.2kHzくらいっす。下のOP37がLPF部分、カットオフは約159.2Hzです。
上記の回路をAC解析結果が以下に。なお実機で振幅が振り切れないようなAC 0.2などとしていることにご注意くだされ。AC解析のグラフは「AC 1」をあてにしているので、出力1Vのときに0dBという表示です。
※2024年9月14日追記:AC解析については素人老人の誤解であること判明。「AC 1」と記しても出力がクリップしてしまうことはない。その件についてはこちら。
OP27を1個まぜたらどうよ
馬鹿なので、まず最終段の加算回路のところをOP27にしてみました。回路が以下に。
明らかにHPF側の通過域が、通過しきれずに落ち込んでますな。これはOP37とOP27の速度の差だと思います。
OP27とOP37はどちらもローノイズな「プレシジョン」アンプ。「兄弟品種」のためか似た特性ではあるのですが、速度は異なります。GBWで見ると
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- OP27、8MHz
- OP37、63MHz
です。考えてみればすぐわかることですが、HPFと加算回路は周波数の高い信号を通さないとならないので、OP37必須でないかと。一方LPFのところのカットオフはかなり低いのでOP27でも大丈夫じゃね?
とりあえず、雰囲気出ているんじゃね。
実機測定
上記のようにLPF側のオペアンプをOP27に変更しても「雰囲気でる」ことが分かったので、ブレッドボード上に回路を組みました。こんな感じ。
なお、こちらの縦軸は入力に対する相対値表示なので、ゲイン10倍で 20dBとなってます。だいたい、思ったような感じか?ホントか?