前回は、「4-1 入力オフセット電圧Vos」を読んで、Vosの測定やってみてーなどと考えたアナログ素人ですが、そんな微妙な測定がよくできるとは思ってません。そこで「楽」そうなデバイスを選定していたのですが、考えを改めました。よく見たらOP07、Vos TRIM端子がついてます。いままで使ったこと無かったし。
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
OPアンプ大全の注意書きを守らず測定に突入
折角OPアンプ大全の注意書きを読んだというのに、それをまもりもせずに測定に突入であります。もとより精度のよい測定できると思っていないので、
Vosの痕跡をとらえた
くらいの雰囲気がでたらミッケもの、くらいな勢い?です。なんといってもブレッドボードに部品を差し込んで実験回路を組み立てているので、オペアンプ大全にて指摘されている「もっとも大きな誤差要因」である
異種金属の接点
ありまくりです。勿論「空気の流れ最小」とかそういう注意を守らねばならないような環境ではありません。測定に使用するのは「お手軽ツール」Analog Discovery 2であります。マイコンなどのIF信号の測定などにはお手頃でいい感じなのですが、今回のようにμVといったアナログ信号の測定は微妙(一応、レンジ的にはできるケド。)使っている部品も普通のE24系列デス。計算上のゲインは1001倍すけど、それは額面で、誤差5%までアリと。
実験回路
実験用の回路(TRIM端子使用のとき)が以下です。
現物回路写真が以下に。
1番8番のTRIM端子を開放にするときは、青い可変抵抗を取り除けばOKであります。こんな感じ。
なお、OP07のデータシートを見るとTRIM端子にとりつける可変抵抗は20kΩだったのですが、在庫がなく50kΩで代用してます。すみません。
まあこのTRIM端子にとりつけた可変抵抗でVosを「調整」できる筈、その効果を見たいということでのOP07であります。ただ前回候補にあげていたVos大き目のOPアンプどもに比べるともともとのVosが一桁二桁小さいので「微妙な」測定にならざるを得ません。
まずはTRIM無での測定
VOUT信号をAD2のオシロのCh.1で観察しているのですが波形がキタナイです。入力も出力も素のジャンパ線とクリップだし。。。1001倍してmV単位の信号に増幅されているとはいえ、明らかに商用電源から50Hzが入り込んでいるようですな。
しかたがないので、Averageとって「お茶を濁す」ことにいたしました。Averageは、-6.9mVとな。だいたい-7mVね。ということはVosの値としては-70μVくらいということですかい。データシートのMAX値と近い値でないかい。こんなもんでいいのか?
ちなみに上記では50Hzでゆすぶられている波形のMaximum、Minimum、High、Lowなどという値も測定しているのですが、Maximum,Minimumは測定期間のピークの値で、High、Lowは波形右側のヒストグラムの上下みたいです。知らんけど。
TRIM用の可変抵抗を調整してみた
さてTRIM用の可変抵抗をとりつけて「回して」みました。ある意味回して変動するならばVosが反映しておるのだろ~と。逆説的ね。ただ、50kΩと盛りすぎているので、「回転」の具合次第ではとんでもない値まで振り切れます。精密ドライバで静かに回すっと。
なんとかAverageの値を0Vに近づけてみたものが以下に。
Averageで98μVとな。まあ精密ドライバの微妙な回し加減で大分変るのだけれども。1001倍ゲインで単純計算するともとのVosは0.1μVくらいに調整されている?
でもね、1001倍とか大き目のゲインに設定しているのに、DC信号ではなく50HzのAC波形になっているから、もしかしてすこしゲイン落ちてないか?アナログ素人にはよくわからんよなあ。
まあ、Vosの痕跡くらいは見えたかなあ。