OPアンプ大全を読む(8) 第3章もハードル高いな、先に第4章を読んでおけ、と。

Joseph Halfmoon

前回、第2章は「読んだ」というより「通り過ぎた」だけでした。後日(いつになるのか)のリベンジを決意。それを知ってか知らずか(知る筈ないか)第3章、最初からハードルあげてきました。最初の数行読んで、そこにあるレコメンデーションどおり先に第4章を読む方針に転換。まずはOPアンプの特性の見方を頭に叩き込めと。

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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。

第3章、最初からハードル上げてきた

第3章の冒頭付近を読み始め、即ぶち当たったのが以下です。1か所引用させていただきます。

読者の大多数は、OPアンプの使用について基礎的なことは理解しているでしょうから、

聞いてないよう、理解してないよう。少なくとも「オペアンプ大全」の「読者の大多数」には入れてもらえない感じです。しかし、神はお見捨てありません。以下のようなフローをご提示いただきました。

chap3chap3flow

ここは、Noね、第4章を読んでから第3章に戻ることにいたします。いや、第4章へ行って戻ってこられるのか?それが問題か。

というわけで第4章へ。最初はVOS

第3章をスキップして(自分の足でスキップしたら膝を痛めるような気がしてならない年寄ですが)、「4-1 入力オフセット電圧Vos」へやってまいりました。Vos、出力を0Vにするために2つの入力端子に加える必要のある小さな差動電圧のことでありますな。理想のオペアンプであればVos=0Vである筈ですが、実際には微妙なズレがあるみたいっす。目安の電圧が書かれていたので以下の表にその数値を引用させていただきます。

OPアンプ種類 VOS目安
チョッパ・スタビライズド 1μV以下
最も良いバイポーラ 10μV~25μV
汎用 50μV~500μV
最も良いFET 100μV~1000μV
高速 100μV~1000μV
DigiTrim CMOS 1000μV以下
無調整CMOS 5000μV~50000μV

チョッパ・スタビライズド・オペアンプって何?まあ、それはそのうち、ということで眺めてみます。だいたい、手元に現物があるオペアンプのVosってどれくらいだったっけ?

手元在庫を調べたら「最も良い」クラスのデバイスもあることはあったです(ハンダづけしてないけど。)でも今回は、あえてVosがデカめのオペアンプ在庫が無いかと思って漁ってみました。比較のため、いつもお世話になっております汎用高精度OPアンプOP97Fもならべてみました。

OPアンプ Typ Max
OP97F 30μV 75μV
OP07 30μV 75μV
AD8506 0.5mV 2.5mV
AD8532 25mV

OP97F、上の目安の表だと結構いい線いっている感じ?念のため「シリーズ」の中で一番古そうなOP07を見たけれどもおんなじでした。

これに対して単電源、低電圧(1.8V)のレールツーレール入出力のAD8506はどうかとみると、桁が違いますな。あっちを立てればコッチが立たずですか。

さらに単電源(最低2.7V)でやはりレールツーレールの「低価格・高出力電流」オペアンプAD8532をみるとさらにデカいです。なおこのデバイスは最大250mAの流し出し、引き込みができるもの。コマケーことをガタガタ言うなという感じ?

なぜ、Vosが高めのチップを漁ったかというと、この4-1節の大部分は、「オフセット電圧を測定するための標準回路」がテーマになっているからです。当然、本文で想定しているのは1μV以下のレンジでのVosなんだと思います。そこでは、「もっとも大きな誤差要因は、異種金属の接点で発生する熱電効果」だそうです。熱電効果の目安は2μV/℃から40μV/℃くらいらしいです。確かに想定しているVosからしたら無視できなくなる大きさになるのでしょう。そのため「空気の流れは最小」とか語りはじめ、「温度特性測定はさらに困難」と恒温槽内での測定テクに言及していくのです。ああ、手に汗握るスペクタクル。でもアナログ素人の年寄にはとても付き合いきれない気がします。でもね、やってみたいのね、測定。

Vosがデカめのデバイスを使えば「なんちゃって」測定できるのでは?

と考えた次第。解説されている標準回路は1001倍のゲインですが、AD8506のTypでも500mVくらいになる筈なので測定できるんではないかと。AD8532だとゲインを変えないと振り切れちゃうかな~などとトラタヌ。測定は次回か。

その前にちゃんとはんだ付けしておけよ。だいたい冒頭のアイキャッチ画像のAD8532、上下逆さまやんけ。

OPアンプ大全を読む(8) 第2章はほぼ「電流帰還形アンプ」なのね。後日リベンジ目指し撤退。へ戻る

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