以前にも3.3V電源のデバイスと5V電源のデバイス間のレベル変換ということで実験したことがありました。しかし今回別シリーズで5V電源のレトロな奴らを動作させてます。5V単一電源とはいえ、TTLも登場、NMOSとCMOSも共存。そういえば入出力レベル「いろいろあった」んじゃないだろうか。ということで復習。
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過去回の信号レベル変換のおさらい
以下の過去回では、3.3V系のデバイスから5V系への単方向の信号伝達について、全てインバータ、74HC04、74VHCT04、7S14Fを使って実験してみてます。
部品屋根性(66) いまさらレベル変換おさらい1、3.3Vから5Vへ単方向
また以下では、5V電源だけれども3V系信号を入力できる74VHCT541と3.3V電源だけれども5V信号を受け入れられる(5Vトレラント)な74LCX245を使って、信号を「ラウンド・トリップ」させてます。
部品屋根性(68) レベル変換おさらい2、3.3Vから5V、5Vから3.3V単方向
一方、以下の別件シリーズでは、TTLの代表選手?、74LS373が登場しました。
レトロな(12) ALEの御供といえば、74LS373だっ。その当時はね。
今にいたるまで信号レベルの一つの基準として連綿と使われてる「TTLレベル」ですが、TTL自体は入力電流が流れるタイプの回路なので、「MOSデバイスだけ」のときのようにほぼほぼフルスイングは期待したらアカンでしょうなあ。ちゃんと計算しないと。。。
3.3V電圧デバイスのVOH、VOLに対して入力レベルをプロット
以下は、3.3V電圧デバイス(実際にはESP32マイコンのデータシートを見ましたが)の出力レベルVOHとVOLに対して、今回登場しそうなデバイス共の入力信号レベルの規定をプロットしてみましたぞ。こんな感じ。
「受けている側」は以下のとおりです。
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- 74AHC245、双方向のオクタル・バス・バッファです。電源電圧3VのときのVIH、VILが規定されていたのでその値を引きましたが、このデバイス自体は電源電圧5Vで使用可能です。参照したデータシートはTI SN74AHC245
- 74LCX245、上記と同じ双方向オクタル・バス・バッファです。このデバイスは3.3V電源用のデバイスで、5V電源では使えませぬ。しかし5Vトレラントということで5V信号を印加してもOK.参照したデータシートは東芝TC74LCX245F
- 74HC04、言わずと知れたCMOSインバータ6回路入り。使用可能な電源電圧は2から6V。そこで今回は電源電圧2Vのときと4.5Vの時のスペックを参照。なお、「トレラント」ではないので低い電源電圧のときに高い電圧の入力信号を与えることは出来ませぬ。壊れるかも。参照したデータシートは東芝TC74HC04AP
- 74LS373、オクタル・トランスペアレント・ラッチです。LSはローパワー・ショットキTTLです。バイポーラ。推奨電源電圧は5V。今だ現役。参照したデータシートはTI SN74LS373N
- 4069、CMOSの原点?4000シリーズにつらなるデバイスっす。4069は6回路入りインバータですが「アンバッファ」タイプのもの。アンプにもなる素直なインバータ。参照したデータシートは東芝TC4069UBP
- 8085、8080の後継機種、5V単電源の8ビット・プロセッサです。回路はNMOS。オリジナルはインテル。残念なことに公式のデータシートは既になく、ネットのアチコチにはおかれているみたい。
何気に5VTTLは3.3Vデバイス発の信号レベルとは相性良さげ(まあ電流が流れてしまう分割り引かないとならないケド。)また、CMOSデバイスは回路がCMOSだけならほぼほぼフルスイングで実質問題ないのかもしれないけれども、スペック的には5V電源のCMOS不適合。
5V電圧デバイスのVOH、VOLに対して入力レベルをプロット
5V電源デバイスとして8085の出力電圧レベルを参照したので基本TTLレベルであります。
多分MOSデバイス同士を接続するだけならば、VOHはフルスイングに近いところまで行くのだろうけれども、電流流す場合には上記のようにかなり下がる可能性あるので、どうする?プルアップでも入れておく?
74LCX245は電源電圧よりずっと高い入力信号を受け止めないとならないけれども、5Vトレラントなので入力しても大丈夫。74HC245は5V電源にも対応しているけれどもそのときの規定のVIHは3.85Vとな。やっぱりプルアップしておく?
忘却力の年寄には、とても覚えきれませぬ。適宜参照するよろしっと。