アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』の2024年3月号(和文版)実習4回目です。前回、「同調アンプの改良」ということで差動ペア段を導入してます。そこで差動ペアの電流源になってしまったQ3、単にバイアス与えるのではなくコイツに信号を加えたら?というのが「追加の実験」です。AM変調だぜ。
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※学生でもないのに勝手に実習をさせていただいておりますアナデバ様の記事が以下です。アナデバ様的にはアナデバ製ADALM2000ツールを使って実習せよ、との記事ですが、当方持ち合わせなく、Digilent製Analog Discovery2利用であります。
今回は上記3月号の実習四回目。「追加の実験」と見出しがついているセクションです。わずか3行チョイの部分。でもそこを実験(シミュレーションだけだけれども)をせずには通り過ぎられませぬ。
実はペアトランジスタを保持していた
前回、Nchトランジスタ2個がワンパッケージに入っている(特性のそろった)ペアトランジスタが手元に無いなどと書いてしまいました。年寄の忘却力のせいでした。約2年前の以下記事で、しっかり使っているではありませぬか。
お手軽ツールで今更学ぶアナログ(94) NPNトランジスタのシンプル差動アンプその3
上記で使っているのは東芝製HN1C01FU、「ウルトラスーパーミニ」パッケージ品であります。これを使えば良かったのね~。お馴染み2SC1815と特性クリソツという触れ込みのオリジナル東芝様の逸品であります。でもちょっと探しても部品箱には見当たりません。「HN1C01FUを探し出す」というのがGW後半の課題ね。ぶっちゃけ部品箱の整理だけれども。
追加の実験
アナデバ様の記事では「追加の実験」の記述はたった3行ほどしかありませぬ。回路図もその動作結果も無し。まあ、勝手にやってちょ、という感じです。追加の実験のため、当方で勝手に「改ざん」した前回の回路が以下に。
「ミソ」は以下です。
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- 同調アンプ入力の信号を Vcarrier というお名前に変更。信号は、同調アンプのゲインのピークである 500kHz に40mV振幅の正弦波として与えた。当然、ガツンと増幅されて出力されるハズ。ちなみに出力はVamというお名前にした。
- 差動ペアの下にいる電流源に「なってしまった」Q3(最初の図面ではアンプの実体だった)のベース入力に信号波形ということでVsigというお名前をつけてみた。そこに「とりあえずテスト用」ということで50kHz、1.2V振幅の正弦波を与えてみた。
- 「上下が比較的対称な」被AM変調波形とするために、R2の値を2.2kΩだったのを4.7kΩにしてしまった。ちょっと電流流れ過ぎるかもだけれども。シミューレーションなのでOKっていうことにした。いいのかそんなことで。
- 前回までAC解析ばかりだったが、今回はトランジェント解析で波形を愛でてみた。
シミューレーション結果
まずはAM変調されている雰囲気のVam出力信号(赤)の様子が以下に。
500kHzの振動の振幅が50kHzの周波数で「変調」されておるようです。変調度は小さめ?でもちょっと斜めってないか?
なお、赤い簾の隙間から入力信号波形の黄緑色がチラチラ見えてます。赤の出力波形があると、入力波形を観察しずらいので赤を消して拡大したグラフが以下に。
黄緑色が入力信号(変調波形)です。青色っぽいのが「搬送波」源に相当する同調アンプへの入力信号です。同調アンプのゲインがデカいので、ほぼほぼ0V付近のさざ波デス。
「なんちゃって」AM変調のようだけれども、アナログ素人の老人には調整が難しいのね。伝家の宝刀「試行錯誤法」に頼る。