鳥なき里のマイコン屋(4) Cypressいつの間に

JosephHalfmoon

快調に仮説検証がつづいている「ARMのお供に8051説」です(そういう会社ばかり取り上げているのだろ~と言われると返す言葉もありませんが)。そんな中、本日とりあげるのは、Cypress Semiconductor社のMCUです。CypressのMCUと言えばユニークなアナログを搭載したPSoCという頭でいたのですが、その頭は古い頭でした。ちょっとびっくり。まあ、当然といえば当然なのですが。

まずは、MCUのシリーズ(それぞれのシリーズに何十、何百という機種が含まれていることがある)とそれぞれに使われているCPUコアを列挙いたしましょう。

シリーズ名コア
PSoC6Arm Cortex-M
PSoC4Arm Cortex-M0/M0+
PSoC38051
PSoC1M8C
Traveo/Traveo IIArm Cortex-R5, Arm Coretex-M4/M7
FCR4Arm Cortex-R4
FM4/FM3/FM0+Arm Cortex-M4/M3/M0+
FR32-bit RISC
16LX/16FX16-bit CISC
8FX8-bit CPU

ちょっと直ぐには把握できないシリーズの多さとシリーズ名の「多様性」です。実は上の表に書ききれなかったような専用MCU的なシリーズもあるのです。とんでもなく充実。CypressといえばPSoCという頭のPSoCのシリーズも当然多いですが、ちょっと毛色の違った他の奴らは誰?という感じ。この理由は簡単です。会社を吸収合併したから。吸収合併したのはスパンションという会社です。その源流は富士通とAMDの合弁でフラッシュメモリなどを製造していた会社。しかし、ある時(割りと最近です)富士通のMCU部隊は、スパンションに売られ、そのスパンションがCypressに吸収されたのでした。FxxとかF2MCとかなんか聞いたことある名前だな~と思っていたら、要は富士通のマイコン。だから、評価ボードの型番なども調べるとMBxxxとか、マイコン屋だったらすぐに富士通製とピンとくるような番号がまざっています。

まだ統合されて日も浅いせいか、製品ラインがそのまま引っ越してきた感じです。なにせ、マイコンは一度使うと使い続けられるものが多いです。その機種のためにユーザの皆さんはお金をかけてソフトウエアを開発するので、メーカの勝手で機種をなくしたりするととても怒られます。ついているユーザの手前、そう簡単に「整理」などできない、というところでしょうか。特に自動車向けの品種が多いので「やめられない」のではないんでしょうか。

そして、統合のためとは言え、使っているARMコアの多様さです。A、R、Mのめでたい3文字を頭にいただく、Arm社のCortexシリーズのうち、スマホなど向けのCortex-Aこそ見当たりませんが、MCU向けのCortex-Mでも、0/0+/3/4/7と5種類のコアを使っています。そして、AとMに挟まれて目立たない「シビアなリアルタイム制御向け」のCortex-Rが、4と5の2機種入っています。ARMコアのMCUを手掛けている会社は多いですが、ここまで充実した製品ラインは珍しいのではないかと思います。ただあまり品種が多すぎるのも厄介じゃないかと思うのですがどうでしょう。

ARM以外のコアも、オリジナルPSoCの8ビットコアM8Cに、富士通系の8/16bit CISC、32bit RISC、そして我らがレガシー8051が存在します。今回も「ARMのお供に8051がいる」仮説は成立して良かったですが、ARM以外も「多すぎる」感じは否めません。ただ、用途的には、PSoC系と富士通系で大分違うようにも見えるので、どちらかがあれば良いというようにも見えません。マイコンはチップを作るだけでなく、開発ツールとかそのサポートとかCPUコアの数に比例してリソースを食うという面もあります。Cypress社がこの先どうしていくのか。それにしてもレガシー8051、残ってもらいたいものです。

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