介護の隙間から(22) 見守りサービスの源流

JosephHalfmoon

調査スコープを徘徊検知装置から、「シニア見守り」に広げる、と言いつつ、「見守り」イコール「カメラ」的な狭いスコープばかりになっていました。カメラは直接「見る」ことができるので見守るといっちゃ、そのままですが、見守りはカメラが無くても可能です。それどころか電子デバイスを用いた「見守り」サービスの源流はカメラでないところにあったのではないかと思われるのです。今回は、既に十数年の実績のある2つの「見守り」サービスについて調べてみます。

まず取り上げさせていただきたい「見守り」サービスは、象印マホービンの

みまもりほっとライン

です。見守り対象の方(独居の高齢者の方など)の電気ポットの使用状況を遠隔地の見守りする側の方にメールで知らせる「見守り」サービスです。商品としては ”i-POT” と名付けられた電気ポットです(なお、アップルがiPodを発表したのは2001年10月)。中にはFOMA(当時としては先端だった)の通信モジュールが仕込まれており、電気ポットをコンセントにつなぐだけで運用可能となるシステムです。これが登場したのは2001年3月とあるので、既に18年ほどの実績があることになります。登場した頃、度々マスコミにも取り上げられていたので、ご存知の方も多いのではないかと思います。この装置の登場は電子デバイス屋にも結構衝撃を与えました。当時、独居の高齢者問題というべきものがかなり注目を集め始めた時期だったと記憶しています。電子デバイス的な解決策も考えられていなかったわけじゃないですが、かなり大上段に振りかぶった発想が多く、直ぐには実用化などできないんじゃないの、という感じでした。それに対して、この象印マホービンのシステムは、「ポットのお湯でお茶を飲む」といった日常生活の行動を通じて見守りができるんだ、ということを皆に知らしめてくれました。

このシステムは「メールが飛ぶ電気ポット」的な「装置」としての取り上げられ方がクローズアップされていた気がするのですが、改めて見てみると、FOMAのインフラを使うため、

サービスビジネスモデル

と言っていいと思います。サービスを提供し、毎月使用料をお支払いいただく形。つまり「見守り」デバイスは、登場の当初からサービス・ビジネスだった、ということになります。IoTなどという言葉が無い時代から。

さて2001年の象印マホービン「みまもりほっとライン」に続く、次の高齢者見守り向け製品としてあげさせていただきたいのが、

2003年、富士通らくらくホンIII F672i

です。「らくらくホン」は、movaと呼ばれた前世代の通信規格の時代からdocomoの「シニア向け」の携帯電話として、大きな文字、押しやすいボタン、音声読み上げなどに対応するシリーズとして一定の人気を確保してきたシリーズです。現在ではスマートフォン化した「らくらくスマートフォン」も存在します。しかし、この2003年のFOMA機種が、「見守り」用途でエポックメーキングなのは、

歩数計を搭載し、歩数をメールで送信することができた

という点です。現在では、どこのキャリアの携帯電話にも歩数計搭載機種はあり、また、歩数計トリガのメール送信機能も漏れなくついている筈ですが、当時としては唯一の存在だったと思います。典型的な使用方法としては、見守り対象の高齢者の方にこの「らくらくホン」を持ち歩いてもらい、見守る側の方にメールで歩数を送信(1日1回、自動送信)するようにします。これによって「起きてちゃんと歩いている」ことが見守れるわけです。当時、高齢者の方はまだ携帯を持ち歩く習慣がない人が多く、外に出るときに持って行く習慣をつけてもらいたい、という考えからこのような機能が考えられたようです。

歩数計自体は、携帯電話のオマケ機能的なものなので特別なサービス契約など無しに使用できますが、携帯の契約そのものをサービスビジネスとしてみれば、この機能は、そのビジネスモデルを補強するためのアイテムの一つであった、と言えます。携帯を持ち歩いてもらえれば、何時でも連絡とれるので最強の「見守り」ツールであるわけですが、この習慣づけに歩数計が一役かっていた、ということになります。また、この頃から携帯に3軸の加速度センサなどが搭載されることになり、現在の10軸センサ搭載といった多軸センシングのシステムにつながる源流にもなったのではないかと考えています。

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