介護の隙間から(23) 見守りサービス、3方向からのアプローチ

JosephHalfmoon

前回は、電子デバイスを用いた「高齢者見守りサービス」の源流を調べてみましたが、今回は「その今」を調べてみることにいたします。結論から言うと、3つの方向からそれぞれ特徴のあるアプローチがなされているのです。第1は「インフラ系」とでもいうべき組織からのアプローチ、第2は「警備会社」からのアプローチ、そして第3は「ICT企業」からのアプローチです。

インフラ系企業からのアプローチ

以下の2つを代表例として取り上げさせていただきたいと思います。

郵便局も立派な「社会インフラ」だ、という考えのもとに郵便局のみまもりサービスをここに取り上げさせていただきました。ただし、これ以降の他の例では電子デバイスが活躍するのですが、この郵便局のみまもりサービスでは電子デバイスはほとんど活躍の余地がありません。

郵便局のサービスは3本柱から成り立っています(それぞれ契約は別)。第1のサービスこそが特長で月1回、みまもり対象の御宅に郵便局の人が行き、30分ほど話をして、その報告を見守りたい側の人に送ってくれる(電子メール基本ですが、勿論、郵送も可能)というものです。郵便局らしいといえば郵便局らしいサービスです。遠方にいて、直接会う事ができない場合、まずは電話ということになるでしょうが、電話口では気付かないことはままあると思います。そんな部分を補完してくれるサービスでしょうか。ただ、月1回では急場には間に合いませんから、あまり切迫していない状態向きでしょう。第2は毎日電話をかけてその回答を連絡するというものですが、自動音声によるマシン処理とのことです。高齢者に自動電話に毎日回答させるのは感覚的にはなんだかな~と思います。この契約どれくらいの人がしているのか実績を知りたいものです。第3は駆けつけサービスで、緊急度が高い場合に安心ですが、これは郵便局の人ではなく警備会社の人が駆けつけてくるようです。別契約、別料金ということなので、郵便局経由で頼むのが良いのか、後で取り上げる警備会社のサービスに直接入る方が良いのかちょっと微妙。

次のTEPCO(東京電力です、念のため)のサービスは、電力会社の特長をいかしたものです。契約すると分電盤にセンサを取り付けてくれるようです。この「エネルギーセンサ」で、エアコンは回っているか、電子レンジを使っているかなど、生活リズムを見張るというのがポイントです。ここで検出した状態がスマホもしくはスマートスピーカ(GoogleまたはAmazon)に報告されます。前回象印マホービンが電気ポットでやっていたことを家全体に広げたような見守りです。さらにアピールポイントが高いのは、年2回まで訪問確認サービス無料というところでしょう。何か異常が報告されて、遠隔地で見守っている側が「これはいけない」と思ったときに頼りになります。なお、インターネット接続については別途必要とのことです。

警備会社からのアプローチ

大手2社のサービスを取り上げさせていただきます。

道具立ては似ているのですが、SECOMとALSOKではサービス自体の「味付け」は大分異なる感じです。

まずSECOMの高齢者見守りサービスの方ですが、こちらはセンサなど電子デバイスが活躍します。日常生活に異常を検出すると報告が飛びます。また、見守られる側の方に無線ペンダントをもってもらい、これで緊急通報も一発。本体装置に火災検知、防犯機能なども含まれるのは、さすが警備会社の装置という感じです。しかし、駆け付けサービスはオプションです。屋外にまで見守り範囲を広げるオプションなどもあるようです。

これに対してALSOKの見守りサポートもやはり電子デバイスである専用装置を設置するのですが、サービスのメインは「駆けつけサービス」です。装置の真ん中に緊急ボタンがあって、何かあったら押すというシンプルなものです。ただ、高齢者は何か身体の状態が変だと思っても、迷惑を掛けたくないという思いからなかなか駆けつけボタンを押さないのではないか、という恐れがあります。そこを考えたのでしょう、駆け付けボタン以外に「相談」ボタンというのもあるのです。これを押して音声通話で相談もできるようになっています。高齢者の気持ちを汲み取った2ボタンかも。そしてこちらも、各種センサやペンダント型緊急ボタン、トイレのドアを使った(ライフリズム監視)などもありますが、オプションです。

ここまでの4社の見守りサービスは全て一般消費者との個人契約サービスです。これに対して以下の2つは BtoB のビジネスモデルです。

ICT企業の見守りサービス

以下の2社は日本を代表するICT企業と言って良いでしょう。

どちらも自治体や企業(不動産業、介護施設など)向けの「ソリューション」です。そしてどちらも電子デバイスでセンシングし、行動を把握し、異常を検出したら通報という根本的ところは同様です。しかし、この2社も「味付け」の部分が異なります。

富士通が自社の特長として打ち出しているのが「緊急通報コールセンター」です。どうも富士通はこのコールセンター業務に長年の実績があるようです。24時間365日、看護師が常駐するコールセンターで緊急通報を受ける、というのがこのサービスの安心を担保しているわけです。

一方のNECの特長はというと、「データセンター」です。見守り対象の方の家の家電から、扉の開閉などセンサで収集したデータをNECのデータセンターで収集し、生活行動リズムを把握してアラートをあげてくれる。ICTらしいICT。

富士通の方にはちょっと気になった点があります。『企業広告 「人はICTと、何をかなえるだろう。」シリーズ:見守りサービス篇』掲載終了になっていました。何の意図もない単なる入替かもしれないですが。

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