介護の隙間から(25) 物忘れ対策、それとも見守り、スマートタグ

JosephHalfmoon

「防ペ小老、見守りの4大用途」などと勝手なことを書かせていただいております。防は防犯、ぺはペット、小は子供で老は「シニア」の方々です。しかし、こと「シニア」に関しては一方的に見守れば良いのか、というとどうも違うように思われます。やはり「シニア」には「シニア」の暮らしがあり、そこで役立つような電子デバイスがあるべきじゃな~と常々思うんであります。物忘れが多くても、楽に暮らせる的なサポートグッズが何かできないかな、と。そんな中、「小物」ですが役立ちそうな電子デバイスの一つがスマートタグと言われるものです。

スマートタグと呼ばれている製品群に対する呼び名はいろいろあり

  • スマートタグ
  • 紛失防止タグ
  • 忘れ物防止タグ
  • キーファインダー

などがあげられます。その機能も製品によりバラエティに富んでいるのですが、基本は以下だと思います。

何か「失せ物」を探すためのタグ(名札状)の装置

認知症と診断されずとも、ご高齢ともなれば、年々短期記憶力が落ち、もの忘れが激しくなっていきます。財布やら鍵やら大事なものをどこにしまったんだっけ、と言って探し回ることは、シニアでなくてもままあることです。そんな時に役立つ小物が上記のようような呼び方があるタグ類です。基本は、よく探すことになる大事な物品に小さな無線タグをつけておき、見つからなくなったときに、「親機」からタグを呼び出すことで、タグの在りかが分かるというもの。

この手のタグは、数千円程度の比較的低価格のものから各種販売されていますが、シニアの物忘れ対策用途としては向き不向きがあると考えられます。

親機は専用の送信機、子機は受信機、音で在りかを知らせるタイプEvershop, Esky/Aosnow
親機はスマホ、子機はBT/BTLE。音などで知らせる機能が中心。Tile, ChipoloPlus, Qrio Smart Tag, MYNT, NUT2, TrackR, WISTIKI
親機はスマホ、子機はBT/BTLE。紛失をスマホのバナー表示で示す。音で知らせる機能はない。MAMORIO

一番上は、昔からある単純なワイヤレスブザーとでもいうべきタイプです。親機のボタンを押すと(どの機種もタグの数だけ色分けしたボタンがあります)、その色に該当するタグが鳴る。これだけです。これだけですが、

家の中のどこに置いたか分からなくなった

というようなケースでは十分だと思います。インタフェースも色分けされたボタン(ボタンに物品名を貼り付けれ置けばなおよし)を押すだけとスマホ操作に慣れない方にも使いやすいでしょう。(親機が無くならないようにどこか壁に取り付けておくくらいのことは必要かもしれません)ちょっと心配なのは、耳が遠いので見つけずらい場合ですが、こればかりは致し方ありません。また、家の外で紛失してしまった、といったケースでは、場所のめぼしが付いていて、親機をもってそこへ行けるような特殊なケース以外ほとんど無力です。あくまで自宅内で探し回るのを助けるツールと考えるべきでしょう。

それに対して下の2つは、親機にあたるのがスマホです。当然、その用途は広がります。第2番目のカテゴリは、

スマホのアプリを操作することでタグが鳴る

ものです。基本的な機能は、最初のシンプルな通信機と変わらず音で物品を見つけます(一部機種には光るものがあり、暗闇で見つけやすいと言っています)。しかし、スマホとBluetoothでペアリングをした双方向デバイスであるという点、使い方は広がります。ほとんどの機種が以下の機能の全てか一部をサポートしています。

  1. スマホとタグ間の通信が切れた時点からごく短い時間でスマホにお知らせ
  2. 通信が切れた時点の位置をスマホ上の地図に表示
  3. 同じアプリをインストールしているスマホで組んだ「クラウド」で装置を検出
  4. タグ側からスマホを鳴動させる

1番目は、タグをペアリングした相手のスマホがタグと一定時間通信がないと検出して報告するもので、置き忘れ等の直近の時間で警告が得られるものです。直ぐに気が付けば探すのも楽でしょう。2番目は、1番目の通信が切れた位置をスマホ側のGPSで検出しておいて、地図に表示するものです。多くの製品ではスマートタグ側にGPSがあるわけでなく、スマホのGPSがとったロケーションを、通信ロストのイベントに結びつけて表示するという方法です。どの辺で落とした、という目星をつけることもできますし、車の中にタグを置いておけば、広い駐車場のどこに駐車したのか分かる、といった使いかたもできるでしょう。

3番目は、インターネットの世界ならではで、同じアプリを入れた他人のスマホが対応タグの電波を拾うと、その位置をクラウドに上げるという機能です。このコミュニティによる「助け合い」により、自分のスマホのBluetooth電波の届かない遠方にある紛失物を見つけられる「可能性」が高まるわけです。ただし、これはそのアプリの普及と使っている皆さんの分布次第であります。

4番目は、もっとも使用頻度高いかもしれません。タグ側のボタンを操作してスマホ側を見つけ出すもの。

なかなか便利にも思えるスマホ利用のスマートタグ(中にはアマゾン・アレクサやGoogleホーム対応品もあり)ですが、唯一にして最大の欠点が

スマホを操作しないとならない

スマホを操作できる高齢者、また、認知症であってもスマホを操作できる方もおられますが、ここはかなり敷居が高そうです。介助者の助けを得られる状況なら活用も可能でしょうが、おひとりだと難しいかもしれません。

第3番目のカテゴリは、MAMORIOと呼ぶ一連の製品です。音を鳴らす機能は無く、上記の1,2,3に上げた機能が中心の、紛失防止が主目的のものです。特徴は、その小ささと3でカバーされるネットワークにあります。駅などの忘れ物センターのようなところにMAMORIO用の通信機が設置されているようなので、届けられれば確実に捕捉できるようです。また、保険プランまであります。このような特性からは、MAMORIOシリーズはBtoB向けで、高齢者向けから最も遠くにあるようにも見えるのです。しかし、やはり考えていました。

Me-MAMORIO

と呼ぶ、高齢者向けの見守りタグを出していました。高齢者の方の外出時の落とし物防止、といった観点のものです。メディカル・ケア・プランが含まれるそうです。結構、微妙なマーケテティングポジションだと思います。

これ以上「見守り」用途にハマり込むと「徘徊検知」用のタグ類と被る

落とし物防止であれば、介護保険適用の領域とは一線をかくせるでしょう。しかし、用途としては、限りなく連続に見えます。使いたい人の要求はそれぞれなので。

なお、スマートタグ選択のポイントとしては、

  • タグは使い捨て(またはメーカで電池入替)
  • 自分で電池交換可能

といった点も実用上は重要だと思います。

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