お手軽ツールで今更学ぶアナログ(3) ADALP2000のオペアンプ共

JosephHalfmoon
JosephHalfmoon

前回前々回とアナデバ社のOPアンプOP97をちょっと触ってみました。このIC、前にも書きました通り、アナデバ社のアナログ学習用部品キットALALP2000に含まれていたものです。みればキットには9種類の「オペアンプ」が含まれております。今回は、どんなものがキット同梱されているのかデータシートで確認してみました。

まずは、キットに含まれる「オペアンプ」の型番の一覧を掲げましょう。

  1. AD8226
  2. ADTL082A
  3. AD8542
  4. OP482
  5. OP484
  6. OP27
  7. OP37
  8. OP97
  9. LTC1541

合計9機種。まずこれらは、用途から2つに分類できると思います。

  • いろいろな用途につかえる所謂オペアンプ
  • ある程度、用途限定的なオペアンプ

後者の用途限定的なオペアンプは以下の2つです。

  • AD8226
  • LTC1541

まずAD8226は、インスツルメンテーション・アンプ(計装アンプ)と呼ばれるタイプのアンプです。「計装」などと言われると、アナログ音痴の私などは、精度が良い計測用のアンプなんだろな、などと漠然と想像してしまうのですが、アナデバ様のお言葉は違います。アナデバ社の「計装アンプの使い方」ページから1文引用させていただきましょう。

OPアンプを使って計装アンプを組むことはできますが、計装アンプを使ってOPアンプのような多種多様な目的に向けて回路を構成することはできません。

計装アンプというのは、特定用途に向けて特殊化したアンプであったのでした。その特殊化というのは、ブリッジ回路のような微小な差動出力、その差動出力の両端子には結構おおきい「コモンモード」の電圧が乗っている、あるいはフローティングのような場合に真価を発揮するような。このような例としてストレインゲージ(歪ゲージ、歪だけでなく、力や重量の測定にも応用される)とか、熱電対、電流シャント抵抗などが挙げられています。そんな差動信号をバランスよく扱うために、内部の抵抗はレーザートリミングで誤差0.01%(普通のE24系列の抵抗など5%もある)を確保していると。アンプではあるものの、普通のオペアンプとは分けるべき回路構成です。

一方、LTC1541の方は、「オペアンプ」も独立した回路として含むのですが、ワンパッケージとしてみたときに特定機能に使えるようになっています。オペアンプ以外に、コンパレータと参照電圧を持っています。ぶっちゃけ、1.2Vの内部参照電圧と外部の監視対象の電圧をコンパレータで比較し、その監視結果に応じてオペアンプで増幅した信号で対象を制御する、と。いろいろ応用はあるようなのですが、そのもっとも端的な応用がバッテリ充電回路でした。充電電圧を監視して充電を制御するもの。アプリケーションノートはこちら。なお、このチップは、MAX951/953と「ピンコンパチ」だとあります。念のためMaxim社のデータシートはこちら

のこる汎用的な9種類を、アナログ音痴が勝手な意見でバッサリ2分類にしてしまうと

  • ADTL082A
  • AD8542
  • OP482
  • OP484

のグループと、

  • OP27
  • OP37
  • OP97

のグループです。

前のグループは、JFETあり、CMOSあり、バイポーラありとデバイス的には雑多。両電源もあり、単電源もあり、rail-to-railもそうでないものもありなど、特徴はバラバラなのです。当然、JFETやCMOSを選択すれば、入力バイアス電流はバイポーラより何ケタも小さいし、rail-to-railを選択すれば、出力は電源近くまで振れるなどそれぞれの特徴があります。お勉強のためには、この4つから適当に選べば、いろいろなタイプが学べそう。そのなか、唯一共通する特徴が、

ユニティ・ゲイン安定

であります。つまりゲイン1倍(0dB)で使っても安定。私のような素人が変なことをしても発振しそうにない機種と理解しました。それに対して、後者のグループをみると、OP37のようにゲイン5倍以上で使えという指定のあるものもあります。つまり、あまりゲインの落ちる高い周波数で使うと位相余裕がなくなって発振しちゃつかもよ、という感じですかね。こちらの方が「本来」のオペアンプらしい回路なのかもしれませぬ。

その最後のグループ、OP27、OP37、OP97は、その名からしてもベストセラー機種OP07の後継機種群だとわかります(前回ふれたとおり)。バイポーラで両電源、一般的なタイプの所謂オペアンプ。しかし、若干古い機種も混じっているようで、Web上では

OP27 新規設計非推奨

となっていました。この3機種、OP07の子孫といいながら、比べてみるとかなり性格が違うようです。勝手な意見で「じゃじゃ馬度」というのを思いつきました。それで言うと

OP37 > OP27 > OP97

の順です。前回、前々回とお世話になっているOP97は「おとなしい」感じで、あまり尖がって速いところを狙っていないようです。多分、私のような素人が学習するには使いやすそうな感じがします。それにたいして、OP37はかなり高速、広帯域に尖がった(OPアンプ業界でのトンガリかたからすると、かなり庶民的なトンガリ方だと想像しますが)感があります。ゲイン帯域63MHz(OP97は0.9MHz)、スルーレート17V/μs(OP97は0.2V/μs@TA=20℃, 前回、前々回はワースト条件の値書いていた)と言う塩梅。OP97にくらべると早いけれども、先ほども書いたとおり、ゲインが5を下回るようなところで使うと発振するぜ、という制約もあり。OP27は、OP37とOP97の間で、ほどほどな感じですが新規設計非推奨。ま、実験するにはいいか。実際に動かしてみないと身に沁みないか。

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