前回に引き続きNPNトランジスタを使った回路が題材、今回はカレント・ミラー回路ですな。いわば電流を複製できる回路。ICの内部じゃ結構頻繁に使われている気がします、知らんけど。けれどもディスクリートのトランジスタで構成するのはちとメンドイ。バラツくから?
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「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回は2020年8月号です。記事へのリンクは以下に。
今回の実験のターゲット・デバイスは、前回同様、アナデバ製の学習用部品キットADALP2000所蔵のNPNトランジスタ 2N3904 、「でも」良いのです。しかし本当はアナデバ様の以下のデバイスが「なおよし」みたいな雰囲気です。
SSM2212 マッチング・トランジスタ(NPN)、デュアル、オーディオ向け
残念なことにADALP2000には含まれておらず、また、手元に持ち合わせもありません。上記の製品は1チップの半導体上にNPNトランジスタ2個が載っている「だけ」の製品です。分類すると「デュアル」トランジスタとな。
『StudentZone』の記事を読む前に、同じアナデバ様の以下の記事を読んでおくと「なおよし」みたいな気もします(個人の感想です。)
上記記事に、カレントミラーをディスクリート・トランジスタで構成するのが「困難」な理由がかかれています。その部分を引用させていただきます。
ディスクリート部品でカレント・ミラーを構成する場合には、特性が同一のトランジスタを入手するために高いコストをかける必要があります(製造が困難というよりも、需要が限られているため) ~途中略~ オペアンプを使ってカレント・ミラーを構成するほうがコストを抑えられます。
オペアンプを使わない場合に同じチップなので特性がばらついたりしない「デュアル」トランジスタの活用ってことですかね、それでSSM2212。
基本的なカレントミラー回路
今回の記事の方は、いつぞやあったLTspiceでグラフを描いただけで実機を動かさないということは無ありましせん。SPICEかけて、実機を動かしてというスタイルです。ただ、今回は当方がSPICEかけるところにちょっと時間かかってしまいました。こちらで実機動かすのはまた次回だな。それにカレントミラーといってもいくつも回路構成を実験しないといけないし、また3回くらいかかってしまいそうな雰囲気。
アナデバ様の記事では、次に出てくるADTL082を使った回路が「まずはの推し」みたいで最初に出てきてしまうのです。でも私のようなアナログ素人が学ぶには、最初は原理的な回路で行きたいです。SPICEの上ならトランジスタのバラツキも考えないで済むし。シンプルな原理回路(シミュレーション用)が以下に。
回路は「一撃」で書けたのですが、与える波形を与える段になってどうしたらよいの、という感じ。SPICE素人の馬脚を露す。だいたいいつもはSPICEといっても、電圧源はDC設定か、正弦波くらいしか使ってこなかったので、
-
- W1、階段状の波形
- W2、三角波
を与えなくてはならなくなって、SPICEでの書き方を調べ始めました。遥か昔にやったことがあるような、無いような。。。
調べた結果の記法が上の回路図に、そして読み込ませている波形ファイルの内容が以下に。まず StepWave.txtはこちら。
0 1.5 0.00001 1.5 0.005 1.5 0.00501 2.5 0.010 2.5 0.01001 3.5 0.015 3.5 0.01501 4.5 0.020 4.5
左が時刻[秒]、右が電圧[V]。どうも複数チャネルを定義することもできるみたいなのですが、今回は1チャネルとしてみました。
続いて TriangleWave.txt がこちら。
0 0 0.0025 4.5 0.005 0
そしてシミュレーション結果が以下に。記事の中の図6のグラフに「寄せて」みたもの。上記の階段波の波形は以下のグラフから逆算したとも言えます。
オペアンプ ADTL082をミラー回路の実質グラウンドとした回路
一つ前の原理回路と違って、ミラー回路のグラウンドとしてオペアンプの出力を使うものが以下に。
なお、最初の回路とはW1、W2のお名前がヒックリ返っているのでご注意を。元の回路図がそうなっているのでいたしかたありません。実機用にADALM2000に読み込ませてW2に階段波形を与えるためのcsvファイル(ダウンロード可能)があります。これを読みこませた上で、振幅3Vp-p、オフセット1.5V設定にせよ、とのこと。これを踏まえてSpice用に作成した階段波ファイルがこちら。
0 0 0.00001 0 0.005 0 0.00501 0.75 0.010 0.75 0.01001 1.5 0.015 1.5 0.01501 2.25 0.020 2.25
シミュレーションさせてみたものが以下に。
上のグラフは、ちょっと図6とは違う感じがしますんですが。
自分で作った階段波ファイルに戻したシミュレーションが以下に。
まあ、どちらにせよカレントミラーしているみたい。
次回は実機で確かめないと。