前回のTHD、全高調波歪はオペアンプによってデータシートに記載されていたりしなかったり、記載方法もいろいろでした。今回のCMRRとPSRRは、見た限り全てのオペアンプのデータシートの電気特性欄に記載があります。しかし記載の流儀には2種類あるようです。流儀の違いを考えていると何か分かったような気になる?錯覚か。
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※「オペアンプ大全」はアナデバ様の以下のページからダウンロード可能です。
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
※今回読ませていただいておりますのは、「OPアンプ大全、第2部 OPアンプの基礎 Chapter-1 OP Amp Basics」より「4-9同相信号除去比(CMRR)と電源変動除去比(PSRR)」です。
CMRRとPSRR
CMRR、Common-Mode Rejection Ratioと、PSRR、Power Supply Rejection Ratioは、オペアンプのデータシートの電気特性欄に必ず登場する項目であります。片やCMRRは「同相ゲインと差動ゲインの比」であると。理想OPアンプであれば存在しない筈の同相ゲインを、同相入力電圧対差動入力電圧で表した数値みたいです。知らんけど。
一方PSRRは、やはり理想OPアンプでは存在しない電源電圧変動による出力変動を、CMRR同様に対差動入力電圧で表した数値、の筈。と思ったら待てよ。『OPアンプ大全』から1か所引用させていただきます。
ううむ、緑の下線部読ませていただくと、同相電圧(黄色のマーカ部分)と書かれております。ここは同相ではなく、差動入力電圧でないの??恐れ多いことでありますが、黄色部分は御執筆の手がちょっと滑った?と勝手解釈。いいのかホントに。
データシート上の記載を確認
例によってアナデバ様の文献なので、アナデバ様に忖度してアナデバ製のOPアンプで手元にあるもののデータシート上のCMRRと、PSRRを確認してみました。
-
- 電気特性欄に必ずCMRR(まれにCMR表記)、PSRR(まれにPSR表記)の項目あり
- 別途CMRRおよびPSRRの周波数特性グラフも記載されている
ということで、必須な項目みたいっす。こんな感じ。
CMRR(typ.) | PSRR(typ.) | |
---|---|---|
OP07C | 120dB | 7μV/V |
OP27G | 120dB | 2μV/V |
OP37G | 120dB | 2μV/V |
OP97F(日本語版) | CMR=132dB | PSR=132dB |
ADTL082 | 86dB | 86dB |
LT1006C | 112dB | 124dB |
CMRRであれば、同じ出力電圧のときの差動入力電圧を分子、同相入力電圧を分母として比を計算してdB表示すれば良い筈。
一方、PSRRの方は、同様に対電源電圧の変化に対して電圧比を計算すれば良い筈なのだけれど、一部
μV/V 単位
で記載されているOPアンプもありました。しかし、そのようなOPアンプでもPSRRの周波数特性のグラフでは、縦軸をdB単位にとってありました。そこから判明するのは、
dB単位の値 = 20 log (1 / μV/V 単位の値)
という関係です。つまりOP07Cの7μV/Vは、103dBに相当する筈。この7μV/Vという表現は、
電源電圧1Vの変動は、差動入力電圧7μVに相当(勝手解釈)
と読み下すとよいような気がしました。ホントか?
なお、データシートの電気特性に数字一つで書かれているCMRRとPSRRは、周波数特性みると、DCの時の値であることが理解できます。いいんかな~こんな感じで。