思い出したようにBJT(バイポーラ・トランジスタ)の回路を時々触るのは、0と1だけで誤魔化してきたMOSロジック出身者の見果てぬ夢かもしれませぬ。そのせいかバイポーラの回路を触るときは「リニア」なアナログ回路指向。出来ないクセにやりたがるのね。そういえばバイポーラでもスイッチング回路もあったでないの。やらんの?
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ということで、今回より、BJT使ったスイッチング回路を嗜んでいきたいと思います。使用するトランジスタはNPNの2N3904です。以前にも述べたとおり、アナデバ様のLTspiceにデフォルトでモデルが含まれており、手元に現物の在庫もあるためです。LTspiceではメーカはNXPと記されてますが、手元の現物はオンセミ様であったハズ。製品ページはこちら。
先ずはLTspiceシミュレーション
今回は、2N3904使ったリニアな「エミッタ接地増幅回路」とスイッチング回路の2つを並べたものに、まったく同じ入力波形を与えるLTspiceシミュレーション(トランジェント解析)をしてみたいと思います。
エミッタ接地増幅回路(反転)は増幅率2倍としたので、入力波形の形をそのままヒックリ返して、2倍の振幅の波形が得られるはず。またスイッチング回路の方は、5V電源の回路なので、ハイはほぼほぼ5V、ロウはほぼほぼ0Vの「デジタルな」波形が得られるはず。
例によってちゃんと設計もせず、成り行きに流されて描いた回路図が以下に。
左側が、2倍のアンプ。右側が0,1のスイッチング回路っす。入力は同じもので、振幅500mV、オフセット500mV、周波数1kHzの三角波です。左の回路から振幅1Vの三角波が得られ、右の回路からはほぼほぼ0V~5Vで振れる矩形波風の波形が出れば目論見どおりと。
シミュレーション結果
まず「リニアな」アンプのシミュレーション結果が以下に。黄緑色の波形が入力波形で、ピンク色の波形がアンプの出力波形です(ここでは赤の波形は無視してくだされや。)
黄色のマーカを引いた、Diff(Cursor2 – Cursor1)のところにピンクの出力波形のピークツーピークの振幅が表示されております。約1.94Vほど。まあ、だいたい2倍ね。
続いて、スイッチング波形を読み取ったもの。黄緑が入力、赤が出力です。
カーソルは赤の波形の約500mVのところ(Vccの10%点)と、4.5V(Vccの90%点)に合わせてあります。そのときの黄緑色の入力電圧を見ると、約850mVと約700mV。約150mVの電圧変化で、すぱっと0から1へと遷移しとりますがな。
とりあえずシミュレーションは期待どおり?現物は次回か。