お手軽ツールで今更学ぶアナログ(101) ディスクリート・トランジスタでオペアンプ

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回はいよいよ2021年10月号です。遂にたどり着きました。今まで実験してきた回路部品を組み合わせて「オペアンプ」を作ってみるぞ、と。プリミティブなものでたった4個のディスクリート・トランジスタ構成ですが、それでもオペアンプだ、と。

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アナデバ様のWeb記事(日本語版)へのリンクが以下に。

ADALM2000による実習:これまでに学んだ回路を組み合わせてオペアンプを構成する

いつものこと、アナデバ製ADALM2000で実習せよ、との記事ですがAnalog Discovery2でやっております。すみません。

例によって巻末問題への解答編(英語)もあり、そちらのリンクは以下です。

October 2021 StudentZone Quiz Solution

今回は合計3つの回路が掲載されているので、その最初のもっともプリミティブな回路をLTspiceかけてから、実機を組み立てて動かしてみたいと思います。

ディスクリート・トランジスタの回路その1

アナデバ様の記事の書きぶり(実体回路図など)からは、マッチングがとれたデュアル・トランジスタ、SSM2212を入力のところのQ1、Q2に使う想定にみえます。何度も書いているとおり、アナデバ製ADALP2000学習用部品キットにはアナデバ製SSM2212は含まれていなので、2N3904で実験は行いますです。ま、その方がLTspiceかけやすいデス。回路はこんな感じ。

202110OPAMP00CIRCUIT

シミュレーション結果が以下に。赤のV(1+)が上記回路の入力信号、青のV(2+)が出力信号です。「反転増幅」回路、ほぼ-4.7倍近くのゲイン、期待どおりの動作に見えます。202110OPAMP00TIM

実機実験用の回路を組み立て

ブレッドボード上に上記の回路図通りに回路を組んでみました。アナデバ様の記事の図2の実体配線図からは、部品点数が多いのでとても400穴のブレッドボード上には収まらないような気がしたのです。しかし、やってみたら、400穴のブレッドボードの半分の範囲に収まりました。最近、ブレッドボードにレイアウトするのが密かな楽しみになっております。

OpAmpDUT

組み立てた回路にDigilent Analog Discovery2 のプローブ線を接続したところが以下に。

OpAmpDUT_connected

実機動作結果

黄色のC1が入力波形、青色C2が出力波形です。横に振幅の測定結果がでています。ゲイン-4.2倍くらいでやや低めですが、まあシミュレーション結果とだいたい一致してるんじゃないかと。

202110OPAMP_ADTIM

折角なので、10Hzー5MHz範囲で、ボーデ線図も取ってみました。こんな感じ。

202110OPAMP_ADBode

巻末問題を読むと、C3の値を変化させたときの挙動の変化をボーデ線図上で観察すべきだと思うのです。しかし暑いのでパス。最近そればかりだな。西日がキツイのよ。

ともあれディスクリートなトランジスタでオペアンプできたみたい。まあアナデバ様の偉い人が書かれた回路図どおりなのだから当たり前か。

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