アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』2023年6月号の日本語版がアップされてました。その実習1回目です。今回はいくつか問題の回なのです。テーマは「ウインドウ・コンパレータ」です。そのLTspiceシミュレーションを試みて回路「図」に躓きました。ムムっ。謀略?教材の「使いまわし」の疑惑もあり。
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アナデバ様のStudentZone 2023年6月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。
ADALM2000による実習:ウィンドウ・コンパレータを利用した温度制御
記事の前半は、AD8561を使ったウインドウ・コンパレータ回路について、後半は、ウインドウ・コンパレータ相当の回路を内蔵した「温度センサ」TMP01についてです。AD8561もTMP01もADALP2000学習用部品キット所蔵のもの。
今回実習のAD8561の製品ページが以下に。
以前にも似たことやってた
実はADALP2000部品キットを購入した直後くらいに、TMP01については勝手実習してます。
お手軽ツールで今更学ぶアナログ(14) TMP01 温度コントローラ
また、ウインドウ・コンパレータについてはADTL082オペアンプを使って実習している過去回もあります。
お手軽ツールで今更学ぶアナログ(68) ADTL082でウインドウ・コンパレータ
似たような実習を何度かやっているのでウインドウ・コンパレータなど、目をつぶっても作れるよな、というとさにあらず。今回、冒頭からハマってしまいました。
なお、もう一つ加えると今回のStudent Zone記事は以前にStudent Zone外で公開されていた以下の記事の「焼き直し」疑惑ありです。
Activity: Temperature Control using Window Comparator
前もなんか同じような疑惑なかったか?デジャヴ?暑さのせいか?
恐れ多いことなんだが申し上げたい儀これあり
アナログの権化のアナデバ様に申し上げるのも恐れ多いことなんだが、申し上げずにはいられない件これあり。多分、淡々とブレッドボードに回路を組んで実習していたら発覚しなかった件デス。暑いので、とりあえずLTspiceでAD8561つかったウインドウ・コンパレータをシミュレーションして「お茶を濁そう」として問題に直面しました。「図1」回路図のとおりにLTspiceで回路図を入力したつもりだったのですが、ぜんぜん「ウインドウ・コンパレータ」してくれません。なぜ?
あちこちチェックしていてようやく気付きました。以下の部分。左側はAD8561のデータシート(日本語版の参考資料)からの引用、右側が今回のStudent Zone記事の回路図からの引用です。
LTspiceの回路図エントリにあたっては、右側の回路図みながら「その通りに」入力してました。ただし、御存じのとおり中身を調べなければLTspice回路図上には上記のような端子番号は現れてきません。+とかーとか端子名が書かれているだけです。
黄色のマーカ部分を御覧じろ。左データシート上、+入力端子は2番、-入力端子は3番です。しかし、右回路図ではー入力が2番、+入力が3番になってました。信号の配線的にはVREF(HIGH)は「2番の+端子」(もちろんLOW側も同様にヒックリ返る)に入力するのが正しいです。結果的に、上記右のコンパレータの+、-表記を鵜呑みにして回路エントリして動かすとウインドウ動作しませぬ。全領域ON動作。意味考えてエントリしろよな。
こちらの接続ならば記事通りのウインドウ・コンパレータ動作をする筈です。まあ、ウインドウ・コンパレータの回路くらい自分で直ぐに気づけよ、って事?
なお、もう1点コマケー話もあり。回路図、実体配線図ともR5の定数が470kΩとなってました。一方、部品リストおよび実体配線図のカラーコードから読み取れる部品の定数は470Ωです。470kΩではLED点灯せんと思いますので勝手に470Ωとしています。コマケー話なんだが。
シミュレーション実施
LTspiceにて上記の回路をシミュレーションした結果が以下に。
ウインドウ・コンパレータ動作しておりますぞ。