お手軽ツールで今更学ぶアナログ(10) Milli-Ohm Meter、定格電力!

JosephHalfmoon

前回、インダクタンス測定が多少マシな感じになってきたので、その余勢をかって?コイルでも巻いてみるべし、と思い立ちました。「測定しやすい」mHオーダのコイルです。エナメル線買ってあるし、連休だし。しかしコイルを巻くとインダクタンスだけでなく、抵抗値も測っておきたくなる筈だなあ。コイルの抵抗、そんな大きな値の筈がない。ミリΩ単位で測れないと。

※「お手軽ツールで今更学ぶアナログ」投稿順 indexはこちら

そこで思いついたのが、インストールしてあるにも関わらず、いままで出番の無かった

ALice M1K Milli-Ohm Meter

であります。(ALiceと綴っているのは間違いではなく、インストールされたソフトのアイコンがそうなっていたためです、念のため。なお、他のAliceソフトウエア群はAliceと小文字。)

別に

Alice M1K Ohm Meter

という抵抗値計もあり、それは既にキャリブレーションかけてみたりして使わせていただいておるわけです。それとは別にMilli-Ohm Meterがあるのは、ひとえに「測りにくい」低抵抗値の「何か」を測るためでしょう。

「本件」についてのアナデバ様の解説は以下のところに書いてあります。

Measure very small resistances by building your own Milliohm-meter

Measuring very small resistances with ADALM1000 part 2

上記の解説記事読んでいただくと分かるのですが、「本件」M1Kに接続する小さなボードが登場するのです。なぜかと言えば、M1Kだけではこれを成すことができず、M1Kの先っぽに

AD8210、電流シャント・モニタ

をとりつけて測定をするためです。測定原理そのものは簡単で、対象の抵抗に電流を流したときの電圧を測れば、抵抗が計算できる。オームの法則通り。しかし、ターゲットの抵抗が小さいので、電流にもよりますがそこに生じる電圧降下は小さい。そのため、小さな電位差をAD8210で20倍に増幅してM1K(ADALM1000)のADコンバータに入力すべし、ということなのです。先ほどのALice M1K MilliOhm meterは、AD8210による「フロントエンド」があってのソフトであります。なお、AD8210はブレークアウト・ボード(BOB)搭載形態のものがADALP2000キットに含まれています。

さて、いつもであれば、ブレッドボードにBOBを刺して実験するところですが、今回は、以下のような条件が重なり

  • 上記の資料にブレッドボードでピンががたつくと測定不安定などと脅しが入っている。(何度も)
  • 上記の資料では、小さなAD8210搭載ボードを作りM1Kに接続して実験している。(このボードがなかなかカッコがいい)
  • 苦手な半田付けやっている時間がある(連休だし)

AD8120をM1Kにガチャンコと接続するためのボードを作ってみました。L字のピンコネクタでM1Kに接続するようになっています。アイキャッチ画像に掲げたのが接続前のところ。そして接続したのが下。

下の方にあるICがAD8210です。不器用な割には「決まった」じゃん、などと悦にいって、早速「DUT」をとりつけました。DUT(Device Under Test)は、

6.2Ωのパワー系の抵抗器

であります。1Ωくらいの高精度の抵抗器があると良かったのですが、手元にある高精度の抵抗器は1kΩしかありません。ADALP2000の箱の中にみつけた10Wの抵抗に、

4線式、ケルビン測定

をしかけました。むろんカッコいいプローブなどないので、ありあわせのものです。

アナデバ様資料のPart2によれば、チェックいれればキャリブレーションなどは自動でやってくれるようなので、期待に胸を膨らませてRunしてみます。

あれあれ、6.2オームとかと程遠い値が出るよ。。。

実は、上のチャプチャは最初のものではなく、何度目かで原因分かってからのものです。初期値のIA(CH-Aから流す電流)は150mAに設定されていました。小さい抵抗を測ろうというだけに、M1Kの流し出せる電流上限200mAにかなり近い大電流をながし、ともかく電圧差を確保したい、という意図の設定なんだと思います。

6.2オームに150mAを流すと、電圧降下は0.93Vになります。それをAD8210で20倍(倍率は固定)に増幅しようというのです。電源電圧5Vではとうぜん収まらないので、CH-Bに出力されるのは、上限に張り付いてしまった電圧なのでした。

デフォルト設定で 6.2オーム測ろうなんざ論外

6.2Ωなどというのは抵抗値が大きすぎるのでした。まあ、電流値自体は変更可能なので、6.2Ω測るために電流を絞ってみると。

まあ、6.098Ωか。ちょっと小さいけど。。。

しかし、そこでハタと気付きました。DUTに150mA流れたのであれば、10ΩのR1(上図参照)にも150mAながれていた筈。10Ωに150mAなら、1.5Wも電力消費していた筈。諸般の事情あり、R1の10Ωは約5Ωの抵抗2個直列なので1個あたりにすれば約750mWですが、使用した抵抗は電子回路工作では普通の4分の1W品です。

定格の3倍も流してもうた!

まあ、短い時間なので、燃えも、溶けもしませんでしたが、これは危ない。普通は定格の半分くらいで使うのが常識じゃないかと思うので、それからするとIA=25mAに設定しないとダメだ。でもIAを小さくすると肝心の抵抗測定が荒くなってしまう。折角のAD8210いかすためにも100mAくらいは流したい。幸い、基板の上の方に少し隙間があるから、抵抗を並列に何個か並べたものを用意するか?

不器用な割によくできたと思ったんですが。不器用以前の検討不足。

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(9) インダクタンス測定再び へ戻る

お手軽ツールで今更学ぶアナログ(11) コイル、巻いてみる へ進む