帰らざるMOS回路(7) M1Kでインピーダンス測定

JosephHalfmoon

前回、アナデバ様のM1Kは、ウン千円のお勉強ツールにも関わらず、あまりに機能が豊富なので、その機能を端から見ていきたいなどと大それたことを申し述べてしまいました。本題のN-MOS論理回路のお楽しみからは脇道ですが、使用ツールを理解しておくことは大事なことだと(言い訳です。)しかし、ちょっと始めて直ぐに分かりました、こりゃ、GW期間の数日では終わらんだろ~と。大体ね、動かし始めると部品欲しくなるのです。前に申し述べましたとおり、部品の調達はGW明けてからにするつもりなので、手持ちの乏しいもので「とりあえず」やるしかない。

まずね、正直に申告いたします。前回まで、M1K(ADALM1000)つかって「測定」してきましたが、肝心な部分のキャリブレーションをしないままに実行していたことです。

まずは、Alice M1K DesktopソフトウエアのOccilloscope画面を御覧ください。

右下に4行2列に並んでいるテキストボックスお分かりでしょうか。Adjust Gain/Offsetという部分です。今まで、

Gain 1.0/ Offset 0.0

という初期値のままで使っておりました。なにかやらなきゃマズイような気がしてました。それは、「とりあえず」抵抗を測るためにOhmmeterツールを使ってみよう(多分、簡単そうだから。オームの法則なら私でもなんとか分かる。)としたところで発覚いたしました。

抵抗測るためにはね、まず、電圧測定が正確でなけりゃ

ということであります。つまり、抵抗測る前に、電圧のキャリブレーションをするべきであると。それをするお道具は前回アイコンのリストを並べた中にありました。Alice M1K Volt Meterツールです。

このハンディなテスター風のアイコン。キャリブレーションの手順そのものは、

ADALM1000 DC Voltmeter

というページにしっかり書かれています。簡単にまとめれば、

  1. CH.AとCH.Bを、まずGNDにつないでRunせよ、さすればDCオフセットが求まるであろう。それを打ち消すように下のOffset欄に入力せよ。
  2. その後、CH.AとCH.Bに基準電圧2.5V(Analog Devices社AD584推奨回路)を与え、それが2.5Vと正しく求まるようにGainを調整せよ。

という感じ。こうしてちゃんとキャリブレーションをしたアカツキには、1mVくらいで信用のおける測定ができるかもしれない、と。

キャリブレーション値自体は、横にあるSaveボタンでセーブし、Loadボタンでロードできるので、一度測ってしまえば、そう何度もやらずに済ませることはできるのですが、ううむ。大体それほど正確な基準電源など手元に無いし(GW中の整理で掘り起こせる可能性が僅かにありますが)、後回しだな。

左は、GNDに接続してオフセットを測っているところです。オフセット0.8mVとオフセット0.7mV、確かにこれを「許せない」エライ人はいるだろうが、とりあえず、0.1V単位くらいで満足している今の私。GWあけたらAD584仕入れてちゃんと基準電圧回路を作って校正(更生?)いたします。

さて、キャリブレーションができたとして、抵抗値の測定ですが、いくつか測定方法があります。基本になるのが、独立したツールとして呼び出せる

Alice M1K Ohm Meterというツールです。

これまた、ハンディなテスタのアイコン。しかし、これを開くと分かりますが、やはりまたキャリブレーションがあります。基本、直列接続の抵抗2本に対して電流を流し、それぞれの抵抗の電圧降下をCH.A、CH.B動員して測る方法で、キャリブレーションを行います。オームの法則そのままだと、電圧と電流の両方を測定しなければならないけれど、この方法であれば電圧を測るだけで抵抗値が求まるからだと思います。しかし、これも2段階、

  1. まずは外付けのターゲット抵抗と、正確な基準抵抗の2本でターゲット抵抗の抵抗値を正確に測定
  2. 今度は外付けの抵抗と、内蔵の「50Ω」抵抗の2本で、内蔵の「50Ω」抵抗の抵抗値をキャリブレーション

以降、Desktopから呼び出せる「簡易型」の測定画面では、このキャリブレーション済の内蔵「50Ω」を基準に使えるのでカンタン(?)と。手元のハンディDMM、調子悪いし、そんな高精度の抵抗など持っていないし、大体、電圧のキャリブレーションも未だし、ということで、これまたキャリブレーションはGW明けに先送り~。

なお、上記の抵抗値の測定は、電流流してその電圧降下を直接見る、という方法なので、電流が100mA以上流れるような測定系にするなとか、測定可能な電圧降下の最小は100uVくらいだ、とか制限があり、抵抗測定が可能は範囲はそれら条件を考慮する必要があります。

この電圧降下測る方法とは別に小抵抗値を測定するための方法が用意されています。そのアイコンがこちら。

アナデバ様のオペアンプを使った測定系用。これまた、「また後で」

 

 

 

一応、メインのオシロ画面から、Ohmmeter呼び出して、大体「1kオーム」の抵抗を測るためにOhmmeterをイネーブルにするところ。

イネーブルにした、Ohmメータの出力画面。キャリブレーションしていないことに注意です。抵抗自体は、5%品です。内蔵抵抗で測定。

DCで抵抗測っているだけで、インピーダンスまで行きつけないとタイトルと違ってしまうので、最後にインピーダンス測定の結果を。上のオシロ画面の右にある

Impedance

というボタンから出てくる画面を使います。測定の仕方そのものは、以下のページに書かれていますが、どうやって測定結果からインピーダンスを計算するのか描いた図が分かり易かったので引用させていただきます。

ALICE Vector Voltmeter – Impedance Analyzer – RLC Meter

被測定対象に観測されるVZで、求めたいのはVRxとjVXx。VAは測定系全体にM1Kからかけている電圧。そして、VIというのは、被測定対象に直列に入れた「既知」の抵抗に観測される電圧です。つまり、インピーダンスを測りたいターゲットに直列に既知の抵抗を接続しておかないとなりません。抵抗値の求め方は先ほど見てきたとおりであります。

とりあえず既知の抵抗「1kΩ」、被測定対象「100Ω+1μF」(上記のページでやってみている例と同じ。ただし、測定周波数異なる)でRUNしてみるとこんな感じ。

一応、インピーダンスらしきものが求まってはいます。キャパシタンスは0.966μF、被測定対象のレジスタンスは138Ωとちょっと微妙。ま、「既知の抵抗」は1000Ωとしてしまっているし、キャリブレーションはしてないし、しかし微妙。そのときの時間波形はこちら。

大体、キャパシタンスの値からインピーダンス計算するのが正直メンドイ。でも、そのためにスマホにお道具をいれております。こちら。

まあ、ありがちな簡易電卓みたいなものですが、私のように関数電卓で計算するのも億劫な人を助けてくれるもの。

リアクタンス計算のスクリーンショットがこちら。

1.592kΩか。上の値とは0.1kΩくらい違うみたい。ま、いろいろあるし、この辺も皆GW明けに部品調達してからだな~。

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