お手軽ツールで今更学ぶアナログ(59) OP97, OP27, OP37ループゲインの測定

Joseph Halfmoon

前回から、ADALM2000使った実験シリーズに突入していますが、ADALM2000を持っていないので、Analog Discovery 2で代用させていただいております。さて今回はアナデバ社のオペアンプOP97、 OP27、OP37のループゲインを測れとのお題です。しかし、ちゃんと測れているのだか、いないのか、覚束ないことこの上なし。後でやり直しか?

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「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」は、2019年7月号です。記事(日本語版)へのリンクは以下に。

ADALM2000:ループ・ゲインの測定

上で述べましたとおり、今回はアナデバ社のちょっと古めの汎用オペアンプ、OP97,OP27,OP37について「電圧注入法」にてループゲインの周波数応答を測定せよ、とのことであります。オペアンプ3兄弟は勿論、測定に使用するトランスHPH1-1400と、アナデバ社の学習用アナログ部品キット ADALP2000 が大活躍です。

例によって、本文末尾の課題の解答編は以下に。

July 2019 StudentZone Quiz Solution

恐れ多いことですが、

今回も、アナデバ様におかれましては恐れ多いことですが、記事に一言ありなんであります。前回のようにオペアンプに電源供給忘れるなと言って、何V?ってなところではありません(今回はちゃんと7番に5V、4番に-5Vと書いてあります。)ゲイン測定用の回路のブレッドボード上実体配線図です。そのトランス部分の描き方、ちょっとご指定の部品と違いすぎてはないですか。本文中にご指定の部品は以下です(現物写真はアイキャッチ画像に掲げました。)

Coilcraft HPH1-1400

コイルクラフト社製のコイルなのですが、1つの芯の周りに6本のコイルがまかれており、12本の端子がでています。外部の接続により、直列のコイルにも、並列のコイルにも、トランスにもなるという優れものです。今回は1次側、2次側とも3個直列に接続してトランスを構成せよ、とのご指示です。上記ページからダウンロードしたデータシートをみながら配線を考えましたが、どう考えても実体配線図のような形にはなりませんって。だいたい、実体配線図じゃ6端子ですが、12端子だし。

それに実体配線図の+IN端子、そのままだと浮いてますぜ。GNDへの接続がないです。GNDの配線と言えば、回路図上のデカップリングコンデンサ省略は普通かと思いますが、実体配線図からも省略しているのは不自然だとおもいます。ブレッドボード上ではデバイスと配線必要なので。

WaveFormsのネットワークアナライザの設定

トランスの配線やらなにやら本当に課題の意図どおりなのか不安です。ブレッドボード上の配線が以下に。コイルの端子間の接続はコイルの下に隠れてます。

July2019DUT

Analog Discovery 2を接続したところは以下に。

July2019DUTwAD2配線、よく確かめたつもりではあるのですが、ぼっーとして生きているのでポカミスありそうで不安です。そう言っていると先に進まないのであります。

しかし、測定を始めたら案の定というか波形が変、ボード線図の波形が暴れる君です。こんな感じ。

OP37_10k

周波数の低いところのガタガタな感じ、記事のADALM2000で取った波形例とは全然違います。何を間違えているのか? いろいろ弄ってみたあげく、このような回路のボード線図を測定するときは、Digilent Analog Discovery2の測定用の設定値を変更する必要があるのではないか、という結論に至りました。Digilent社のリファレンス・マニュアルへのリンクを以下に貼っておきます。

WaveForms Reference Manual

ネットワーク・アナライザのタブの右上に、入力信号を制御する Wavegen というのが見えているのです。

wavegen_setting波形をキレイにするために、Settle、Min Periods、Averageの3か所を闇雲に変更してみました。

まずSettleは、周波数を掃引していく途中、周波数を切り替える時に即測るのでなくてちょいと待ちを入れるための機能のようです。

次のMin Periodsは、測定にあたりどれだけの周期を使うかの指定。その次のAverageは、何回測定を繰り返して平均をとるかの指定です。デフォルトでは、いずれも最低値か、無しになっていました。デフォルト設定だと、測定そのものは速いですが、本件回路の測定結果の信頼性がイマイチに見えます。

すこし設定を変更したら、上のガタガタな計測結果は、以下のような計測結果になりました。効果はハッキリしているように思われましたが、こんなんで良いのか。

OP37_10kN

測定

いろいろ怪しいところがあるままに、測定を進めた結果のまとめがこちら。R2というのは反転アンプのフィードバッグ側の抵抗値です。入力側がR1=1kΩ固定なので、反転アンプとしてはR2に応じて-1倍または-10倍の設定となります。

オペアンプとR2 ループゲイン0dBとなる周波数 その時の位相の読み
OP97 R2=1kΩ 329kHz 102°
OP27 R2=1kΩ 2.32MHz 57°
OP27 R2=10kΩ 493kHz 92°
OP37 R2=10kΩ 1.61MHz 76°

位相は180°から「読み値」を引いたら位相余裕という計算で良いのかなあ?

OP97、R2=1kΩのボード線図

OP97_1kN

OP27、R2=1kΩのボード線図

OP27_1kNOP27、R2=10kΩのボード線図

OP27_10kNOP37、R2=10kΩのボード線図

OP37_10kNイマイチ、というより、豆腐の上のようなあやふやさです。やっぱりやり直しか、それにしても何時やるんだ?

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