「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」は、2020年3月号に到達です。今回はオペアンプのセトリングタイムの測定。かなり微妙な測定で「お手軽ツール」でホントに上手く測れるのかしらと思いましたが、ご指示の通りにやって見たらば意外と簡単(本当か?)
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さて今回学ばせていただく記事(日本語版)は以下です。
ADALM2000による実習:オペアンプのセトリング・タイム
本当はアナデバ社製のADALM2000で実験をしないとイケないのですが、手元にあるのは Digilent社Analog Discovery2なので、それで実験させていただいております。実験対象のDUTは、アナデバ社のADALP2000学習用アナログ部品キット所蔵の以下のオペアンプ3種です。お馴染みさんのもの。
OP27、OP37、OP97
また、本記事には例によって末尾の問題があります。今回は「ちゃんと」解答編もあり、以下です。
March 2020 StudentZone Quiz Solution
なお、今回は「お恐れながら」の1件はありません。平和だな。
OP27
記事の手順通りにブレッドボード上に回路を組みました。しかし、測定を終えた今になって問題発覚。入力信号C1の黄色ですが、
ご指示は「ピークツーピークの振幅が1V、オフセット0V、周波数60kHzの方形波を入れよ」だったのですが、以下波形をよく見たら「振幅が1V、オフセット0V、周波数60kHzの方形波」でした。なんか変だな、と思っていたのに確かめなかった私が悪いです。とは言え、装置もしまってしまったので、入力信号の振幅倍で測定したグラフのままにて進行させていただきます。すみません。
まずは時間波形その1、黄色C1が入力波形、青色C2が反転出力です。青色波形にはちょっとリンギングらしきものが見えていて、また立ち上がりの遅延もあるので、最終的な1Vに到達するまでに時間がかかっています。入力パルスの50%点を起点として、最終的な値のある%以内(例えば1%)に落ち着くまでの時間んを測れ、と。
このセトリングタイムを測定するために、ポテンショメータとダイオード2個でErr出力という信号を取り出してます。下の波形は実験開始時点でのErr信号(青)そのままの波形です。Err信号のY軸は拡大してあります。
Err信号だけを取り出すとこんな感じ、ハイ、ロー期間でアンバランスだな、これは。
ポテンショメーターを調整して、ほぼ0Vで対称にせよ、とのご指示なのでやってみます。こんな感じ。
これで調整が出来たので、この波形データをOP27の場合のErr信号としてファイルにセーブします。
OP37
OP37の入出力の時間波形が以下に。OP27に比べると明らかに速いです。当然かもしれないけど、暴れかたもちょっと激しいんでないかい。
以下は、OP37のErr信号のプロットです。調整済ということで、さっさとCSVファイルにExportいたします。
OP97
遅いと言われた、OP97の波形が以下に。全然ダメじゃん、この周波数だと間に合ってない。そうです、入力波形の振幅を「倍」に設定してしまっていたために、倍の振幅を頑張らないとならなくなったOP97は終点まで辿りついてなかったのであります。
問題ありの波形ですが、ともかくErr信号波形も取得いたしました。
3つのErr信号を重ねる
さて、Analog Discovery2のオシロには取得済のCSVデータをリファレンス波形としてプロットに追加する機能があります。OP27のErr波形をREF1(灰色)、OP37のErr波形をREF2(紫)としてプロットに読み込みました。
なお細かい話ですが、CSV読み込み時には勝手にY軸のレンジをスケーリングしてくれるので、同じレンジで重ねてみるには手動でレンジ設定が必要でした。
上をみると、紫のOP37はErr波形の収束が速い、OP27はその次、OP97はとっても遅いです。抵抗値の設定からErr波形は入力電圧の0.5倍ということで、入力電圧の1%範囲はErrではプラスマイナス5mVよね、ということで上のグラフを拡大したものに上下の範囲の線(プラマイ5%)と、OP27の波形の上下線内に収まりそうな時刻あたりに時間カーソルを置いてみました。こんな感じ。
なんか、それっぽいけれども、元の入力波形間違えていたのではダメじゃん。