「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の今回は2020年4月号です。MOSトランジスタ登場。アナデバ製ADALP2000学習用アナログ部品キットにMOSトランジスタなんか入っていたかしら?上のアイキャッチ画像をご覧くだされ。ヒッソリと片隅に入っておりましたぞ。
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まずは読ませていただいておりますアナデバ社の人気?連載、StudentZoneの記事(日本語版)は以下です。
ADALM2000による実習:ダイオード接続したMOSトランジスタ
そして記事末尾の問題の解答(英語)は以下です。
April 2020 StudentZone Quiz Solution
解答記事をみると 710 views という数字が見えるので「人気のほど」が分かるというもの。アナデバ様もご苦労様です。
さて今回も恐れ多いことなんだが、申し上げたいことがあり
今回実験に使用するMOSトランジスタは、
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- ZVN2110A N-Channel
- ZVP2110A P-Channel
というデバイスです。データシートをダウンロードすべく向かったADALP2000パーツキットの以下のページ(各部品の写真とデータシートへのリンクが列挙されているアナデバ社の公式?ページ)で「コマケー事」を見つけてしまいましたぜ。
ZVN2110A、ZVP2110A以外に、もう一つMOSトランジスタがあり、ZVN3310というお名前なのですが、そこの説明です。引用させていただきます。
ZVN3310 N-Channel Enhancement Transistor TO-92 Link Marking: ZVN211
ZVN3310なのにマーキングはZVN211とな。多分コピペかタイポ?すいません細かい事です。
測定に関わるところでは、NチャンネルもPチャンネルも回路図と実体配線図でオシロCHの基準電位の取り方が異なるように思われます。回路図ではGNDにとっているのですが、実体配線図では、Vn(Nチャン)、Vp(Pチャン)にとっています。どっちでも良いような気もしますが、掲げられているグラフのようにデータをとるなら、実体配線図のようにするべきかと思います(個人の感想です。)
なお、実体配線図には慌て者(私のような)が間違いやすいポイントがありです。上記のMOSトランジスタが、NとかPとか書かれている面を手前に向けて配置されています。慌てものはこれがマーキング面だと早合点、その向きに置いてしまうと、ソース、ドレインが逆になってしまいます。実体配線図をよく見るとパッケージの裏側がすこーし丸くなっており、TO92パッケージのカマボコ型の丸い面はムコウ向き。「普通」のバイポーラ・トランジスタなどでは丸い面ではなく、平らな面にマーキングがあるのですが、こちらのトランジスタは、丸い面の中央部がチョイと平になっていてそこにマーキングがあるのです。だから、マーキングをムコウに向ける実体配線図の置き方でOKなのでした。
これに気が付くまでチト時間がかかりました。結局、マーキング面を手前にしたかったので実体配線図とは配置を変えてしまいましたが。そうして作成のブレッドボード上の回路が以下に、トランジスタ1個に抵抗1個のみ。
データの測定
まずは、生データの測定です。記事でご指定の方法どおりに設定すれば測定は簡単です。なお、アナデバ様の記事は、アナデバ ADALM2000 を使って測定する前提ですが、当方、ADALM2000は所持しておらないので、Digilent Analog Discovery2にて代用させていただいとります。すみません。
Nチャンの測定結果
Pチャンの測定結果
ご指定の方法で測定すると、NもPも同じ方向に見えるので比べるのが分かりやすいです。
上のグラフを見るだけで、ある程度は推測がつきますが、ご指示ではデータをMicrosoft Excelにイクスポートして処理せよ、とあります。一応、Microsoft Excelも所持しておるのですが、このごろ愛用しているLibre Officeで処理したものが以下に(EXCEL使わずすみません。)
縦軸が電流、横軸がVgsです。オレンジが電流値そのまま、黄色が電流値の平方根をとったものです。立ち上がった後は、オレンジは2次関数、黄色が1次関数のグラフに見えますな。まずはNチャンのグラフ。
さて末尾の問題
今回は、末尾の問題も「ちゃんと」やってみました。VthとK(W/L)の値を求めよと。Vthは良いのですが、K(W/L)って何?私のようなものが書くのはおこがましいですが、以下の式の赤字の部分の事みたいです。トランジスタサイズのW/L(トランジスタ幅とチャネル長さ)で決まる定数をまとめてK(W/L)と表現されているようです(これって常識?)
※上記式の出典は、https://ocw.mit.edu/courses/electrical-engineering-and-computer-science/6-012-microelectronic-devices-and-circuits-fall-2005/lecture-notes/lec10 です。それを当方で数式エディタで清書?しました。
さて当方の測定結果から求めた値と、解答編から引用させていただく値の比較が以下に。白地は当方測定(灰色網掛けは解答編から引用)です。
測定値はそれほど遠からずに見えるのだけれども、K(W/L)まで計算すると結構開きがあるのね。まあ、PチャンよりNチャンの方が「流せる」ということであるから、まあいいか。いい加減な。