最近の半導体不足のためか、従来と違う流通経路で調達した半導体部品が「偽物」じゃないかという件がままあるようです。そういえば当サイトでもそんな部品があったような。それで「半導体の真贋判定」をしてくれるサービスが結構人気なんだとか。しかし、チップのマーキング信じられないとは世も末だな、おい。
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まず最初に申し上げておきますが、私メ、「互換品」を否定するものではありません。互換品商売には昔自分もかかわっていたし。ただし最低線の「仁義」というものがあります。
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- 誰が(どこの会社が)製造して責任を持つのか明らかなこと(逃げ隠れしないこと)
- 電気特性等の諸元を保証するための文書があること
ピンコンパチといっても、製造プロセス、内部の回路構成、その他もろもろ違うので、差し替えできるといっても別な製品です。
さて最近問題になっているのは、「製造メーカを偽装した偽物」であります。ちょっと見、逃げ隠れしないメーカ製品に「見える」のだけれど、実は「そうでない」ところで作られており、かつ誰が作っているのか分かりません。当然、何か問題があったとしても、責任の持って行きようがないものです。
偏見かもしれないですが、ほぼその出所(会社でなく地域)は明らかです。かの地では部品調達するときに「高い本物」か「安い偽物」か選べる文化が「根付いて」いるみたい。そこそこ互換な品物が大量に製造されているので、マーキングさえ付け替えてしまえば「高く売れる」と悪心を起こす輩がいるのではないか、と推察します。
本サイトでも以下投稿でそんなチップに出会いました。
ただ、上記のチップは「良心的」だったみたいです。ロゴが似ているので老眼の目には燦然と輝くTIのロゴに一瞬見えましたが、虫眼鏡でみたらばテキサス州には似ても似つきませぬ。見れば分かるものでした。やつら、昔から「目の錯覚」利用するの上手だからな!
昨今問題になっているのは、表面的にはがっつり日本のメーカ名など印字されている完全に「騙してやろう」という一品みたいです。
真贋判定を行っている会社
「半導体の真贋判定業界」Webで調べてみたところでは、沖電気のプレゼンスが目立ちました。
半導体・電子部品の流通在庫品向け「真贋判定・信頼性試験サービス」開始
実際には子会社の沖エンジニアリングの仕事みたいです。
半導体大手では、ルネサス傘下のRenesas Engineering Servicesが、
やっているようです。
また、半導体の販社も真贋判定に乗り出していました。レスターエレクトロニクスの以下のページ
また、コアスタッフの電子部品解析サービス なんていうところも見つかりました。結構、半導体会社の下請け仕事で信頼性とか故障解析とかやっている人がいるからかな。他にもやっている会社多数あるようです。
自分でもできる真贋判定?
半導体メーカなどであれば、自前で故障解析とかやる設備を持っている筈なので、多分どこでも出来る筈。基本、外観検査(カメラ、顕微鏡)、電気的特性の測定、X線検査くらいで結論でるのでは。多分、プロセスとかチップサイズ、パッド位置、リードフレームなどはオリジナルと異なっていると想像されるので、X線撮れば「非破壊」でバッチリでしょう。
X線撮れる設備が無い場合、「破壊検査」でチップを取り出してしまえば判定できるように思います。半導体メーカが故障解析などのため半導体のパッケージを溶かしてチップを取り出す場合、劇薬使うので設備と訓練された作業者が必要です。しかし、アマチュアでも簡単にチップを取り出せることを大分前に勉強しました。それを知ったときの投稿が以下に。
Literature watch returns(21) 秋田純一著、揚げて炙ってわかるコンピュータのしくみ
炙ったらプラスチックパッケージ、ボロボロになるので中身のチップやリードフレームが割と簡単に見えるようになるのですよ(とは言え注意深く削る必要がありますが。)削れば、チップサイズは明らか、また、パッドとパッドまわりの電源配線などは太いので簡単な顕微鏡で見えます。実際、上記の御本では、秋田先生、パチモンらしいチップの解析に取り組まれています。
私はパチモン解析はしてないですが、実際に炙ってチップが取り出せることは確かめましたぜ。
日立の(ルネサスではないので古さが分かる)立派なSRAMを炙ってチップとリードフレームを観察してみました。
壊して良いなら炙れば分かる?ホントか。