部品屋根性(69) レベル変換おさらい3、3.3Vと5V間双方向その1

Joseph Halfmoon

前回は、5Vトレラントな端子を持つ74LCX245のお陰で5Vの信号を3.3Vに変換できました。245はもともと双方向のトランシーバーなのですが、5V電源に対応していない74LCX245では5V信号は出力できません。しかし同じ245でも2電源に対応、双方向に信号伝達できるデバイスがありました。74LVCH16T245。

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74LVCH16T245

この長い型番を持つTI製のロジックデバイスは「245」っちゃ245なのですが、ちょっと変わっています。

    • ワンチップに「普通の245」2個分の回路が入っている
    • 2電源対応。片方を5V、片方を3.3Vなどに接続可能

普通の245は1パッケージに8ビット1組の回路(トランシーバー)ですがこのチップは8ビット1組x2組構成です。16ビット分の信号を一度に制御できます。各組に方向制御端子DIRと、出力制御端子OE(ロウアクティブ)があるので、16ビット双方向データバスでも、8ビット双方向データバス+8ビット向アドレスバスなどとしても使用できるんじゃないかと思います。

どちらの組にもA端子とB端子があるのですが、片方を5V、もう片方を3.3V(下限は1.65Vまで)という別電源に接続できるので、A端子側は3.3Vフルスイング、B端子側は5Vフルスイングといった信号を出力可能です。

なお、バスの方向制御端子と出力イネーブル端子はA端子側の電源レベルで動作しているので、A端子側をマイコンなど制御する側の電圧に合わせて使う感じだと思います。

以下に、TI社の製品ページへのリンクを貼り付けておきます。

SN74LVCH16T245 構成可能な電圧変換機能搭載、3 ステート出力、16 ビット・デュアル電源バス・トランシーバ

最近のロジッグデバイスなので一番ピンピッチの広いものでもSSOP品です。もっと狭ピッチのパッケージはラインナップされていますが、DIPはありません。ブレッドボードに刺して使いたいので、例によって秋月電子通商殿のDIP化モジュール使用であります。通販ページへのリンクは以下に(回し者ではありませんぞ。)

LVCH16T245使用16ビット双方向レベル変換モジュール

実機テスト

ピンヘッダを半田付け後、ブレッドボードに差し込こんで動作テストをいたしました。小基板上に誤動作防止用に制御端子にはプルアップ抵抗、また端子数も多くてスイッチングノイズが気になるためか両電源系統に複数パスコン搭載済です。

実験は例によってDigilent Analog Discovery2で行いました。電源はA側3.3V、B側5Vです。第1の組はAからB、第2の組はBからAに方向固定です。双方向といいつつ静的に設定してしまっています。またアウトプットは常時イネーブルと設定。1A側の8端子に3.3Vのロジック信号パターンを入力し、1B側の出力(5V)をジャンパ線でとりだして、2B側8端子に入力しました。そして2A側から出力される3.3Vのロジック信号をロジアナ機能で観察であります。LVCH16T245_DUT

デバイスへの入力となる8端子に与える信号パターンは以下に。

logicIN

上記のパターンが1Aに入力された後、1B、2Bを経て2Aに出て来た信号出力が以下に。

LogicOUT

245でも2電源タイプであれば、こっちからでもあっちからで大丈夫?

ただ245の場合方向の切り替え制御が必要ですな。次回はそういった制御無に双方向レベル変換できるデバイスを試してみる予定であります。

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