アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年2月号の実習はとうとう6回目です。テーマがADCと大物なのでなかなか終わりませぬ。今回は前回に続きSAR ADCと思っていたら実験に使うブツに、ちょっと問題が。そこで「追加の実習」、デュアルスロープADCに入らせていただきます。
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※2022年9月19日追記:以下のAD7920およびAD7091についての記述については次のページをご参照ください。以下の記述は「お品書き」に「騙された」見解であります。
「SAR ADC製品の実例」で使うAD7920はADALP2000の中に無い
前回SAR ADCの原理回路の実験をしました。アナデバ様の記事ではその次の項目は「SAR ADC製品の実例」ということで
AD7920 12ビットA/Dコンバータ
を使って本物のSAR ADCを使ってみることになっているのです。しかし、手元にあるアナデバ製ADALP2000学習用パーツキットには、残念ながらAD7920は入っていなかったです(最近のものはAD7920になっているのかしら。)代わりにAD7091 12ビットA/Dコンバータが入っておるのです。違いがいかに
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- AD7920、同期式シリアル制御
- AD7091、I2C制御
I2Cも広い意味では同期式シリアルなので似ているちゃ似ているのです。しかし、単純CLKとCS制御でADコンバータの動作をコントロールできるAD7920に対して、AD7091は一応I2Cです。スタートとかストップとか複数の信号のタイミングの出し入れで決定される「コンディション」があります。まあ「上手くやれば AD7920同様に「お手軽ツール」のデジタルIOで操作できないこともない」と思われました。でも信号のタイミングとか考えるのが忘却力の老人にはメンドイです。それにマイコンのI2Cバスに接続するADコンバータは何度もやっている気がするのでパス(例えばこちら)
追加の実習ーデュアルスロープADC
ということで1個実習をスキップしてしまったので、アナデバ様の2月号記事の最後の単元、デュアルスロープADCに入りました。多くのハンドヘルドDMMなどで電圧測定に使っていると思われる方式っす。お手軽(あまり精度の高くない<安い>)部品を多用しても、そこそこの精度が達成できる優れ物デス。その代わり測定に時間がかかると(タイマで時間を測って電圧に換算するので。)
この「追加の実習」ではアナデバ様のご指示によりLTspiceシミュレーションをまずしてみよ、ということであります。アナデバ様の記事のページからリンクを辿ればシミュレーションモデルをダウンロードできるようになってました。ダウンロードした回路が以下に。
LTspice素人には、こういう使い方をするのね、と勉強になるな~な回路モデルであります。ただ上記の回路図では細かくて見ずらいので、「核心」部分のみを拡大したものが以下に。
大きく黄色く目立つブロックこそ、LTC1043なるデバイスです。アナログ的なディーテルを踏みつぶして、論理的な機能のみ問えば「単なる切り替えスイッチ」です。
まず入力電圧を選択して、一定の時間、積分器で積分しておく第1段階。次に入力電圧と逆極性の参照電圧にスイッチしてまた積分するのが第2段階。参照電圧の方は「既知の電圧」で、かつ規定の電圧に達するまでの時間をタイマで測れば、第1段階の「一定の時間」も既知なので、入力電圧を計算することができるのだと。
LTC1043の製品ページが以下に。
Dual Precision Instrumentation Switched-Capacitor Building Block
このデバイスはADALP2000アナログ部品キットに所蔵されとります。しかし、いざ現物を取り出そうとして混乱。恐れ多いことながらアナデバ様に申し上げたき儀これあり。以下は、手元のADALP2000の箱に張り付てあるお品書きであります。赤線部分をご覧くだされや。
これを見て、私は、8ピンDIPで1043という型番を暫く探しました。見当たりませぬ。しかしよくよく見れば(データシートを見れば一目瞭然ですが)、LTC1043は「18ピン」DIPですのじゃ。このとおり。
「1」が抜けていたのね。トホホ。
シミュレーション結果のうちVintegrateノードのみのものを冒頭のアイキャッチ画像に掲げました。以下は、入力電圧の積分期間(ランアップ時間)を制御するint_ctl信号(赤)と、積分器の電圧を設定した電圧に初期化するためのrest_ctl信号(青)も示したグラフです。
上記では、緑の積分信号は、ランアップ時間で下がり、ランダウン時間で上がっているので言葉とは逆です。ま、これをタイマで測ればAD変換できたことになるっと。
次回は、現物で実験しろよ。