「オペアンプ大全」読み切った暁にはオペアンプ分かる人になれるじゃないかという淡い期待のもと読んでます。しかし老人の忘却力、ただ読んでも即座に忘れます。そこで読んだ内容をMaxima上で「演習」していこうという趣向です。忘却してもMaximaのソースは残ると。結局忘れるんじゃないか、自分。
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原著はOp Amp Applicationsという書物だったらしいです。
今回学んだことのMaximaまとめ
今回は、理想オペアンプと現実のオペアンプとの差に切り込む入口みたいっす。現実のオペアンプは、10万倍とか1000万倍とか巨大なオープン・ループ・ゲインをもっているけれど無限ではないっと。そこを理解せよと仰るのだな。
Maximaの式に入るまえに蘊蓄の深いアナデバ様のお言葉を1か所引用させていただきます。図1-6のあたりです。
非反転増幅回路と反転増幅回路の違いはリファレンス・グラウンドがどこにあるかの違い
なんのことはないのだけれど、非反転も反転も一緒だと思えてくるから不思議。そうだったのね。
さて今回Maximaに覚えてもらった式は以下の3つです。とくに1行目は前回も登場の式の仮引数名を変えただけにも思えまするが。
βtransfunc(Zg, Zf):= Zg /(Zf+Zg)$ Gcl(β, Avol):= (1/β)*(1/(1+(1/Avol*β)))$ εpercent(Avol, β):=100/(Avol*β)$
Maximaで実習
オペアンプのフィードバック経路の減衰率βが以下に。以前抵抗値Rで表現したものの一般化なんだとか。RとZの違いは大きい?
すると回路のクローズド・ループ・ゲインGclがオープン・ループ・ゲインAvolとβを使って以下のようにあらわせると。
問題は黄色のマーカ部分。この項があるせいで理想の挙動からズレとるのだと。
見れば分かる?でも、せっかくMaximaしているので、Avolの値を理想オペアンプの無限大にむけて極限とってみます。こんな感じ。
なんだか、見たことある式が出てきたな~ そういうこと?
ただ式を書いたのでは凡人には響かないので、テキトーな値を代入してみます。こんな感じ。
Aが有限であるために誤差が出てくるのね。でもね、パーセントだからねえ、十分小さいようにも見えるけれど。
そこで愕然とするお言葉に遭遇。もう1か所引用させていただきます。
クローズドループ・ゲインの誤差はそれほど重要ではない
なんだ、せっかく式を定義して計算したのにどゆこと?でもね、ちゃんと次の項目でこの項の活躍する場が説明されてました。
クローズド・ループ・ゲインの安定性です。上記のようにオープン・ループ・ゲインが温度とか「諸般の事情」で変化したときに、Avol*β がデカい(誤差項が小さい)と影響を抑えられるのだ、と。よかった役に立ちそうで。