別シリーズにてアンバッファ・タイプのインバータ 74HCU04 を使ってXTALを発振(現物で)させてみました。現物で出来たのだからSPICEでも発振させて~と野望をいだきました。しかし、SPICE素人にはいささか敷居が高かったです。しかしありがたいことにCQ出版社様のページで疑問は氷解。
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別シリーズで現物発振させたときの回路
ありがちな回路が以下に。現物発振しとるんじゃけえ、このままLTspiceに置き換えれば、などと不届きなことを考えました。
だいたい74HCU04のSPICEモデルが落ちていない
74HCU04はフツーの74HC04とは違い「アンバッファ」のインバータです。フツーの74HC04があくまでロジックデバイスとして0と1だけを扱うようにできているのに対して、「リニアな」アプリにも使えるように「素の」CMOSインバータをポロりんとIC化しておられます。入力、出力をテキトーなフィードバック抵抗で接続してやれば、アンプとして利用可能なデバイスです。
現物発振に使用したのは東芝製のTC74HCU04なのですが、メーカページへ行ってもSPICEモデルなどは落ちてません。どこかに落ちてないかと漁ったところ、以下の状況に気づきました。
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- 個人の方のページにかってあったモデルへのリンクは存在する
- しかし、リンク先をたどっていくとリンクが切れているか、パーミッションが無いと拒否られる
何かの理由で74HCU04のモデルはしまい込まれてしまったようであります。残念。ま、いいか、発振すればいいんだし、何かテキトーなMOSFETで代替してやればよかろう。。。 また甘いことを考えましたな。
LTspiceのXTALのシンボル、クリスタルなの?
さて、LTspiceのlib\sym\Misc内にXTALのシンボルが存在するのは知ってました。こんな感じ。
上記シンボルを持ってきたらよいのかしら、ということでもってきて回路図上に置きました。こんな感じ。
あれ、XTAL(クリスタル)を配置したつもりなのに、Capacitorと書いてあるし、シンボルはともかく、これはCじゃん。ダメじゃん。。。
XTALの等価回路をマクロで作ってこれに当てはめないといけないのか?目が回ります。しかし、調べたら素晴らしいページを発見しました。CQ出版社様 CQ connect
です。LTspiceでXTAL発振させようと思ったら必読かもしれませぬ。上記のCはCだけれども、XTALの等価回路のL、C、Rなどを入力するフィールドが用意されているのでそこに入力すればよいみたいです。よかった。
テキトーなMOSFETモデルでは発振せんよな
上記の記事により分かった気になったので、テキトーなMOSFETモデルでCMOSインバータを作ってつなげてみます。どーせインバータじゃん、テキトーよ。不埒な。
アナデバ様のADALP2000 Analog Parts Kit所蔵のMOSFET、ZVN2110A(Nch)とZVP2110A(Pch)でインバータ作ってみました。これらのMOSFETはアナデバ様の実験記事で何度となく使っており、マクロモデルも何度となくLTspiceかけてます。
しかし発振しませんな。トランジェント解析のコマンドに startup オプションつけているのに。つければ発振するってもんでもない。あたりまえか。
なにも考えずにたまたま手元にMOSFETモデルがあったトランジスタではダメなのかいな~ 再びCQ出版様のページに行けば、ちゃんとトランジェント解析で発振させてるみたい。そしてそのモデルがダウンロード可能だと。動いているものをまずは試すってもんだろ~。
ダウンロードさせていただいたところ、冒頭のアイキャッチ画像のように見事に発振いたしました。そこにいたりて気づきます。使われているMOSFETのシンボル、サブストレートが独立端子になっている4端子のやつだ。
ディスクリートのMOSFETは、通常ソースとサブが内部で接続されているので3端子のシンボル使うしかありません。でもCQ出版様の見事に発振するモデルではわざわざ4端子のシンボルを使い、MOSモデルはテキストで記述された超シンプルなやつを与えてます。多分ここにミソがあるのね。。。素人にはよくわからんケド。おいおいその秘密に迫りたいと思いますだ。