SPICEの小瓶(28) 実回路化可能? 三角波-正弦波変換回路。ダイオード折れ線近似

Joseph Halfmoon

今回はSPICEのVCVSのPOLY記法を駆使し三角波‐正弦波変換回路のビヘイビアモデルを作る気でおったのです。しかし、神の啓示か悪魔の囁きか?古文書の1頁が目に留まってしまいました。ダイオード折れ線近似回路とな。あれあれ、これで三角波‐正弦波変換できるじゃん。手元在庫の部品ばかりで!なんと。

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※ Analog Devices, Inc. LTspice XVII(x64) (17.0.36.0)を使用させていただいて動作確認しております。

実は積みあがった積読の書籍を整理するべいと重い腰をあげていたのです。その中に見つけました。CQ出版社、トランジスタ技術 SPECIAL(ホームページはこちら)のNo.20です。最新刊はNo.162だそうなので、相当古いやつです。ちなみにNo.20は流石に廃刊になってるみたいです。

No.20 特集 アナログ回路シミュレータ活用術 1990年3月1日発行

おお、30年以上も前の御本ですな。下手の横好き、30年前もトラ技スペシャルでアナログ回路シミュレータ勉強したかったのね。積読だったけど。ペラペラめくっているうちに見つけてしまいました。P.115です。

三角波ー正弦波変換回路 著者 更科一 様

なんと、抵抗ラダーとダイオードを使った折れ線近似回路で、三角波入力を正弦波に「近似」しているではありませんか。中核部分はダイオードと抵抗のみ。ほぼ確実に手元在庫部品だけで構成可能じゃないかと。

自分じゃ絶対こんな回路を考え付きませぬ。いつものことですが。

掲載の回路を勝手改変

元の回路は、電源電圧±15Vで描かれてました。手元で実際に動作させることを考えると±5Vが良いので、まず動作電圧を変更してしまいました。また、ダイオードも手元在庫で数があるものに変えました。この辺変えても大勢に影響ないハズ。アナログ素人が大丈夫か?

元の回路図はシミュレータ用に原理を説明するためのものでした。出力段にバッファ等は入ってません。ちょっと負荷抵抗などを接続すると抵抗ネットワークのバランスが崩れて正弦波になりません。説明の中でも実用にするときは入出力にバッファを入れよ、と書かれてます。そこでOPアンプ素人がいつも頼りにしているOP07にお出ましいただき、出力段のボルテージフォロワといたしました。これで出力に何か負荷を接続しても大丈夫な筈。

また、「ホンモノ」の正弦波の波形と比較してみれるように横に参照用の正弦波も並べてみました。

そうそう、元の回路は MICRO-CAP III という回路シミュレータで実験することを想定してましたが、当方ではLTspiceです。

そんなこんなで勝手改変した回路が以下に。

CircuitTriangle2Sine

左側の抵抗とダイオードで構成された部分が「ダイオード折れ線近似回路」です。動的なことは考えず、DC的な電圧を考えていくだけで三角波の頭のとんがっている部分が丸められて、正弦波に見えてくる?回路であります。

LTspiceでのシミュレーション結果

青色の三角波がVinに印加される三角波の入力波形です。オフセット0V、振幅3.3V、1kHzの波形です。それに対して赤色のVout波形がダイオード折れ線近似回路と後段のOP07のボルテージフォロワを通過した波形です(ボルテージフォロワ通過前のVoでも同じ波形ですが。)

そして黄緑色が参照用の「純正弦波」波形です。SPICEの内部で生成されている波形です。WaveTriangle2Sine

こうしてみると黄緑と赤の線、クリソツ。いいんでないかい。

手元部品で簡単に組み立てられそうなだけに、やってみたいです。でもSPICEのシリーズではないな。。。

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