「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」の2022年4月号の実習2回目。前回は熱収縮チューブで赤外線LEDとフォトトランジスタつなげた「なんちゃってフォトカプラ」実験。今回は定番のフォトカプラPC817使います。といって今回はLTspiceのシミュレーションでお茶を濁すの回。
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※アナデバ様の StudentZone 2022年4月号記事(日本語版)へのリンクは以下です。
今回の実習
前回は「なんちゃってフォトカプラ」を使って「フォトカプラ」とはなんぞや的な問いかけに考え込みました。でもね、思ったよりも特性悪かったデス。私の工作のやり方がまずかった? 電流伝達率(CTR:Current Transfer Ratio)は40%くらいでした。
そこで今回から手元に在庫のある「ド定番」のフォトカプラ、シャープ製PC817を使って実習していきたいと思います。SHARPのデータシートが以下に。
ド定番だけあって、アナデバ様のLTspiceの部品ライブラリ、optosのフォルダを開けば、ほれこのようにPC817のモデルが見つかります。
しかし、A、B、C、Dと4種類もあります。手元の部品と対応のとれるシミュレーションするにはどれ使ったらよいの?
まずA、B、C、Dの意味ですが、これは先ほども出てきた電流伝達率(CTR)の「ランク」です。A、B、C、Dの順番にCTRが大きくなるみたいっす。さて手元の現物でのランクですが、これは冒頭のアイキャッチ画像に赤矢印で示したとおり、1番ピンのグリグリマークの横、最初に書いてある文字がランクでした。「C」とな。Cランクだと、CTRは最低でも200%はあるみたい。知らんけど。
なお、シャープ様のデータシートによると「1番ピンのグリグリマーク」は、このデバイスの場合ダイオードなので、「アノードマーク」と唱えるよし。
次回は現物を使って回路を組みますが、今回はシミュレーションで「お茶を濁して」みました。
実験用の回路と実験
アナデバ様のご指示に従って(本当は現物だけれど)回路を描いてみました。今回オペアンプを使った電圧-電流変換回路でLEDを駆動せよとあります。オペアンプとしてはアナデバ製OP27など使えみたいなことを書いてあったので、そういたしました(多分ここは、テキトーな汎用オペアンプで良いのだと思います。)
ご指定の入力信号は2.5Vオフセット、1.5V振幅の100Hz三角波です。
シミュレーション結果が以下に。ちょっと入力信号を力づよく降りすぎてないかい?上の方が完全にサチってます。
そんなことはアナデバ様はオミトオシ。「AWGの振幅とオフセットは各自調整せよ」との思し召しです。
そこで大分控えめな0.6Vオフセット0.5V振幅に変更してみました。波形が以下に。
PULSE(0.1 1.1 0 0.005 0.005 0.0 0.01 10)
このときの波形が以下に。これだと「リニア」な感じがします。
ちょっと控えめすぎるような気がしないでもないです。シミュレーションモデル的にはCTR200%くらいな感じで動作しているようです。しかしデータシート的にはCランク品は最大400%までありえるみたいなので、このくらいに抑えておくか、という感じです。
続いて方形波入力、こんな入力波形。
PULSE(0.1 1.1 0 1e-09 1e-09 0.005 0.01 10)
シミュレーション結果が以下に。100Hzじゃ全然遅延などわからんね。
1kHz正弦波入力の波形定義が以下に。
SINE(0.6 0.5 1k 0 0 0 10)
シミュレーション結果(トランジェント)が以下に。
お楽しみのAC解析
上記で正弦波を入れたときの波形を観察しましたが、AD解析やってボーデ線図を書かずにはいられません。その時の設定はこんな感じ。
結果のボーデ線図が以下に、実線がゲイン、点線が位相です。
やっぱシミュレーションは楽だし。でも次回はちゃんと現物動かせよ、自分。