帰らざるMOS回路(13) AD584でDC電圧キャリブレーション

JosephHalfmoon
JosephHalfmoon

第7回で「GWあけたらAD584仕入れてちゃんとやります」と書きました。予告どおりアナデバAD584(というよりAD584 を含むADALP2000)を手に入れたので、ADALM1000(M1K)のDC電圧をキャリブレーションしてみました。しかし、私のようなアナログ音痴なものでも、基準電圧が簡単に作れてしまうAD584、何者?(データシート読めば分かる)

まずは、復習のため、M1KのDC電圧メータのキャリブレーションを行うための手順が描かれているページへのリンクを再掲載させていただきます。

ADALM1000 DC Voltmeter

M1Kを制御するソフトウエアのうち、Alice M1K DeskTopをインストールすると同時にインストールされるAlice M1K Volt Metorを使ってキャリブレーションをかけます。

最初のステップは、Ch.AとCh.Bの両方を接地して同電位にします。

左はその状態でRunした後、Stopした状態での表示です。下側のChannel Gainは1、Offset は0.0の状態です。

CAもCBも本来0Vであるべきところ0.0008V, 0.0007Vといった値が見えてしまっています。

このオフセット値をそのまま、下のOffset欄に転記してやればよいようです。勿論手動。

 

 

Offsetを書き込んだ後、回路はそのままの状態で、再度Runしてみると下のようになりました。

CA Voltsも、CB Voltsも0Vとなりました。

「よい感じ」

です。しかし、前回はこの状態までやっておきながら、となりのGain欄に行きつけなかったので、Offsetのキャリブレーション値を保存することなく、あえなく終了となっておりました。

Gainのキャリブレーションには、

高精度の2.5Vの参照電圧

が必要なのでした。

M1Kには、2.5Vの電源端子があるじゃないか、と思うのですが、ちゃんとクギを刺してあります。先ほどのページから1文引用させていただきましょう。

Note: the internal 2.5V and 5V sources of the ALM1000 are not accurate enough for this step ( unless you can accurately measure them with a good bench DMM ).

そのまま使うなよ、使うのなら高精度のDMMで電圧測れよ、ってな感じ。そこでAD584の登場です。

AD584, Pin Programmable, Precision Voltage Reference

であります。FEATURESのトップに書いてあります。出力電圧、

10.000V, 7.500V, 5.000V, and 2.500V

と。普通なら2.5Vとか書いておしまい、2.500Vという記載がその素性を知らせます。いくつか品種があり、ADALP2000のキットに入っているものは、「お求めやすい」のではないかと思われるJHバージョンです。2.5V出力の場合、最大プラスマイナス7.5mV誤差が仕様。なお、より精度がよいKバージョンであるとプラスマイナス3.5mV誤差です。

参照電圧が4種類書いてあるにも関わらず端子には、10.0V, 5.0V, 2.5Vの3端子しかでていません。これは、

  1. 7.5V必要なときは、5.0Vと2.5Vの端子を接続
  2. 5.0V必要なときは、10.0Vと5.0Vの端子を接続
  3. 2.5V必要なときは、10.0Vと2.5Vの端子を接続

という形で「プログラマブル」動作をするためです。入力電圧は幅が広く4.5Vから30V。M1Kは高精度とは言えないにせよ5V電源があるので、これを与えておけばOKでしょう。他に必要なのはCAP端子とVBQ端子の間に1マイクロファラドのコンデンサです。なお、電圧を出力できるとは言え、このチップはいわゆる電源ではありません。一応、出力電流は最低10mAを保証していますが。

ADALP2000に入っているのは8ピンのDIP版です。最初、普段使っているブレッドボードに刺すかと思ったのですが、何時ものブレッドボードは、細ピンヘッダか、丸ピンでないとうまく刺さりません。DIPの足は幅広なので丸ピンのソケットにでも差し込まないとダメです。ところが、ADALP2000付属のブレッドボードをよく見ると

DIPの足が刺さるブレッドボード

でした。さすがアナデバ様、ちゃんと考えてあります。ただ、BOB基板上に実装されている表面実装のアナデバ製品群が所せましと刺さっています。彼らには、後で、箱を用意して移動していただくこととし、端の方にAD584を刺してキャリブレーション回路を構成してみました。ご覧いただければ分かるとおり、短いジャンパ1本、コンデンサ1個、後はM1KのGND、5V、CA、CBをさしこむだけです。

そしてRun!

CA, CBとも若干低めの値がでています。

2.5000をメータ読みで割ってGainを求めよとあるので、それぞれ計算してみます。電卓でね。

Gainが求まったので、下のCA, CBのGain欄に値を記入。

 

 

 

記入後、再度Run!

今度は2.5000Vにかなり近い値がでました。

折角求めた値が消えると悲しいので、右側にあるSaveボタンでセーブします。

Saveは、M1Kのシリアルナンバをキーにしてそれと紐づけられるようです。もしかして複数台のM1KをPCに接続してもOKのように思われます。

次回以降は、Loadボタンおせばゲインとオフセットが読み込まれます。

 

書いていると結構長かったですが、実際は数分。みんなAD584のお陰です。

帰らざるMOS回路(12)なんちゃってNAND型ROM(もどき)に戻る

帰らざるMOS回路(14)ADALM2000とAnalog Discovery 2、他人の空似? に進む