AIの片隅で(28) Googleの生成AI、Gemini、エミッタ接地増幅回路を設計して

Joseph Halfmoon

前回前々回とGoogleの生成AI、Gemini様にLogic回路をVerilogでコーディングしてもらいました。イケてます。余勢を駆って?今回はアナログ回路を設計してもらおうと思います。ありがちな「エミッタ接地増幅回路」ね。お願いしたら「設計」してくれたのだけれど回路図なしに受動部品を番号で呼ばれても辛いよな。。。

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※Google様の生成AI、Gemini(無料プランだけれども)を使って回路を設計してもらっています。

今回のお題「エミッタ接地増幅回路を設計して」

今回は茫漠としたお題をGeminiのプロンプトに入力してみました

エミッタ接地増幅回路を設計して

仕様らしきことは何も指定せず、たた「エミッタ接地増幅回路」です。とりあえずエミッタということで、バイポーラトランジスタを使った増幅回路と受け止めてもらえそうですが、ゲインや周波数特性どころかNPNかPNPかすら決まってない問いかけです。

しかし、Gemini様は上記のような茫漠とした投げかけに対しても見事に打ち返してきました。まずは、エミッタ接地増幅回路の設計手順を7段階で説明していただけました。アナログ素人の老人にはありがたいです。しかし「設計して」とお願いしたのに設計は?と良くみれば、設計手順の下にあるではありませんか。Designed

 

10倍増幅の エミッタ接地増幅回路、使用しているトランジスタは2SC1815(このオリジナル製品<東芝製>はディスコンだけれども、日本ではとても人気でコンパチ品が流通してます。Gemini様はそんなこともお見通しっと)です。アナログ素人の年寄でも何となく分かるけれども、回路図なしに受動部品を番号で呼ばれても辛いよな。回路図も生成してくれるようにならないものかのう。
Gemini様の指示した7段階の手順の最後の2つは以下のようです。
    • 6でシミュレーション
    • 7で実機実験
今回は6のシミュレーションを、いつものようにアナデバ様のLTspice使ってやってみることにいたしました。
回路図エントリしてシミュレーション

アナログ素人の老人が、Gemini様のご指示に忠実になるように描いた回路図が以下に。Gemini様の設計例ではC1がカップリング・コンデンサ、C2がバイパス・コンデンサとなっておったのですが、シミュレーションだし、バイパス・コンデンサは無でいいしょ、ということで省略。一方、カップリング・コンデンサの方は入力側なのか出力側なのかハッキリせんので、両方に1μFいれてみました。入力信号1Vppは合わせましたが、周波数の指定は無かったので100Hzはテキトーです。なお、2SC1815のモデル・パラメータはLTspiceのデフォルトでは含まれていないので、どこぞで拾ってきた出所不明のパラメータを使わせていただいてます。2SC1815は人気ものなのでネット上にはアチコチで見つかります。知らんけど。2SC1815_AI0_u

上記回路図でシミュレーションしたところが以下に。黄緑が入力Vin、赤が出力Vout。およよ。

2SC1815_AI0_SIMu

Gemini様の設計例の末尾には

この回路は、シミュレーションと実験によって、目標とする性能を満たしていることを確認しています。

と書かれていたので大丈夫だあ、と思っていたのだけれどイマイチっす。もしかすると老人の描いた回路図が間違っているのかも知れず、あるいは、2SC1815のモデルパラメータが異なるのかも知れず。

元の設計例の数字を「活かしつつ」アナログ的な増幅回路として動作するようにアナログ素人が勝手に手を入れた回路図が以下に。変更した部分は緑のマーカ部分です。2SC1815_AI_HM

上記の変更後のシミュレーション結果が以下に。2SC1815_AI_HMsim

ほぼほぼ5倍の増幅回路になってしまいました(その上、入力信号は0.2Vppになっているし。)

まあ、でも「茫漠とした」プロンプトでもエミッタ接地増幅回路らしきものは生成してくれるっと。追加でいろいろ細かくお願いしたらもっといろいろできるのでないの?アナログ苦手な老人は期待。

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