AIの片隅で(29) Googleの生成AI、Geminiにトランジスタを変更してもらう

Joseph Halfmoon

前回はGoogleの生成AI、Gemini様にありがちな「エミッタ接地増幅回路」を設計?してもらいました。シミュレーション上要調整ではあるものの動きそうな回路っす。今回は前回の結果を「踏まえて」使用トランジスタを変更してもらいます。どちらも定番デス。2SC1815から2N3904へ。Gemini様はどうさばくの?

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※Google様の生成AI、Gemini(無料プランだけれども)を使って回路を設計してもらっています。

使用トランジスタの変更

前回、「エミッタ接地増幅回路を設計して」というかなり茫漠としたお題に対してGemini様はとってもアリガチな設計例をお示しくださいました。トランジスタは定番の2SC1815を採用(オリジナルは東芝だと思うけれど、東芝製は既にディスコン、コンパチの海外製が入手可能です。)

前回は出所不明のSPICEパラメータでLTspiceシミュレーションをかけて動作確認してみました。今回は2SC1815を2N3905に変更してもらいたいです。プロンプトへの入力はこんな感じ(前回の続きで。)

設計例のトランジスタを2N3904に変更して

案1

最初に提示された案(案1というべきか)の冒頭は以下のようでした。2N3904

老人は赤のマーカ部分に引っかかりました。以下は2N3904のデータシート(オンセミ、オリジナルはフェアチャイルド)からの引用であります。2N3904_hfe

右肩のところに条件ついてますが、hfeはさほど高くありません。一方、2SC1815の東芝データシートから一葉グラフを引用させていただくとこんな感じ。2SC1815_hfe

2SC1815の場合「色」の頭文字で呼ばれる複数のグレードがあります。上記のグラフに黄色のマーカで「GR(グリーンだよね)」グレードのところに印をつけたのは、「常備菜」とて手元に在庫があるためです。アナログ素人の老人がみても赤のマーカ部分は正しいとは思えません。

ということで案1は却下。他の案を見てみることにいたしました。

案3

案2ではなく、案3を先に持ってきたのは、変更も少なくて「うごきそうな」回路が得られたからです。Gemini様の案の冒頭が以下に。2N3904_AI3

具体的な抵抗値の変更までふくまれております。

前回の2SC1815の回路(ちょっと手をいれて約5倍のアンプになるようにした回路)の定数を上記のR1、R2で置き換えたものが以下に。2N3904_AI3_HMcir

LTspiceシミュレーション結果が以下に。黄緑が入力Vin、赤が出力Voutです。なおNPNトランジスタ、2N3904のモデルパラメータはデフォルトでLTspiceに含まれとります2N3904_AI3_HMsim

約12倍くらいに増幅しているみたい。

案2

冒頭は以下のようでした。2N3904_AI2_1

冒頭、案1で問題になったhFEの違いの件について言及があり(ちょっと2N3904のhFEは低すぎな感じ。データシートみると、条件悪いときの値を引っ張ってきているみたい。そこくせ、2SC1815の方にも条件悪いときの低い値も掲載されているのにフツーな部分を採用した感じ。)

しかし、案2の方が、案3より「親切」な印象だったのです。ぶっきらぼうにバイアス抵抗の値を提示している案3より、案2の方が計算式をいれて説明してくれています。アナログ素人の年寄には助かります。2N3904_AI2_2

上記の計算例で求まった値にした回路が以下に。2N3904_AI2_HMcir

 

上記の回路のシミュレーション結果が以下に。ダメじゃん。2N3904_AI2_HMsim

上記の計算例ではhFE=60とか低い値でIc=10mAでしたが、シミュレーションみるとhFE=150くらいはあり、Icは60mAくらい流れてました。それを考慮にいれてR1、R2をこの老人が「テキトー」に決めなおした回路が以下に。

2N3904_AI2_HMcirMOD上記の回路のシミュレーション結果が以下に。2N3904_AI2_HMsimMOD

増幅しておるみたい。

まあ、前回に書いたGemini様ご提示の設計手順どおり、最後は

    • シミュレーションして
    • 現物で実験して調整

ってことでしょ~。ただ、回路図(SPICEのネットリストでもいいデス)くらいご提示いただけるとよかったな~。

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