冥界のLSI(4) AMD、Elan SC300/400 Single Chip PC/AT

さて黄昏といいつつ、SoCという言葉以前の夜明けの時代の高集積プロセッサを経めぐっている本シリーズですが、今回はx86でしぶとく生き残ってきたAMD社の高集積プロセッサへの過去の取り組みを振り返りましょう。前回は、C&T社がせっかくPC/XT互換の「シングルチップ」を作ったのにあえなく立ち消えになった話でした。であれば、次はPC/AT互換の「シングルチップ」でしょう。C&T社のPC/Chipよりは数年あと、1995年から1996年くらいにかけて実は何社かほぼ同時期にこれに取り組むのです。ただし、この時代、既にスーパスカラーのPentiumプロセッサが登場しています。そしてOSはWindows 95の時代。

(「黄昏のSoC」改題)

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冥界のLSI(3) PC/Chip: The First True Single-Chip PC

1980年代、80186の登場後、Intelは何度か80186を超える高集積タイプのx86プロセッサを作ろうとした形跡があるのです。しかし結局市場には登場しません。それには1980年代中盤からIBM-PC/AT互換の「チップセット」メーカー各社が大量に(一時200社もあると言われた)登場したという時代背景も影響していると思います。当時チップセットメーカーの一番手といえば、Chips and Technologies社でした(以下C&T社と略します。)そのC&T社は90年代初めにはチップセットに留まらず、CPUにも進出しインテルと争いになるのです。自社のCPUを作った彼らは、当然、自社のチップセットとCPUを結合し、「シングルチップ」PCというコンセプトでチップを打ち出してきました。外部にメモリとクリスタルをつければ「パソコン」ができるという触れ込みでした。まだSoCという言葉以前の1991年。

(「黄昏のSoC」改題)

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冥界のLSI(2) ARM250、ARM最初期のSoC

今日、Armコアのプロセッサというとまず間違いなくSoCプロセッサです。主要部品として、その外側にメモリをとりつければ「だいたいのシステム」が出来上がるという意味で。一方、x86プロセッサでは主流は単体のプロセッサ(現代的にはメモリコントローラやGPUのような「周辺」も取り込んでいるのでSoCと言えなくもないのですが、必ずお供のチップセットなど周辺チップを必要とする構成なのでSoC分類にはいれません。)で、x86コアのSoCプロセッサは傍流であり続けました。両者の使われ方はかなり大きく異なると言わざるを得ません。しかし、最初からArmもSoC主体だったわけじゃないのです。出発は単体プロセッサであったのです。今回も「黄昏」というタイトルに反して、「夜明け前」の時代、”ARM”がまだ単体プロセッサとして使われていたころに戻り、黎明のSoCプロセッサを振り返りたいと思います。

(「黄昏のSoC」改題)

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冥界のLSI(1) Intel 80186、SoCの夜明け前

朧げな記憶では、SoC(System on Chip)という言葉が登場したのは、平成の御代になってから。平成が終わろうとしている今、古き良き時代のSoCを振り返る、ということでクラシックな「新」シリーズを開始しようとしておりますが、その最初は昭和の時代に遡ります。つまりSoC以前。既に現在のSoCにつながる源流が現れているのです。その名もIntel 80186。

(「黄昏のSoC」改題)

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