トホホな疑問(21) 駅のホームのGPSアンテナ?

JosephHalfmoon

以前からちょっと気になっていたモノがあるのです。アイキャッチ画像に掲げたトンガリ帽子のような、宇宙船の先端部分のようなモノです。これは私が時々利用するJRの駅のホームの端のかなり高いところにあるのです。駅のホームの端で空を見上げてスマホで撮影しました。いったいこれは何なのでしょうか?そこの駅で乗り換える度、毎度疑問に思っていました。何かのセンサ、それともアンテナ?どう見ても警報器とかスピーカのようなものではないよね。。。

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まずは、ホームの端にあるそのモノの全貌写真を御覧いただきましょう。ある晴れた日に撮影したもの。

駅のホームの屋根の南端に突き出す縦のパイプの先にトンガリ帽子が設置されています。乗車口は全て屋根の下にあるので、わざわざホーム端まで行って振り向いて上を見上げないことにはまずお目にかかれない風景です。吹き曝しの遮るものとてない位置にあるのでかなり頑丈に固定されているのが分かります。固定パイプ内部からはベローズというべきなのか、フレキシブルチューブと呼ぶべきなのか配管が伸びています。チューブの先を追いかけていくとかなり太い同軸ケーブルらしきものが内部から現れて、ホームの屋根の下にある配線類の中の1本となって遠くに繋がっているようです。

トンガリ帽子(宇宙船)の下面には何やら文字が書かれているのですが、私の裸眼では読めません。スマホのカメラで拡大しても読めない。辛うじて「BT」と読める「ロゴ」が見えます。ついついBT=Bluetoothと頭をよぎりますが、おなじみのBluetoothのロゴとは似ても似つかないです。これは何なのか。

頭上の「不審物」を見上げつつ(ホーム端で空を見上げているお前が不審者だあ)、何度か行き来しておりましたが、本日、意を決して小さな双眼鏡をば携帯いたしました。小雨、上を見るにはいささか辛い状況でしたが、以下の2点を確認いたしました。

    • BTはJR東日本ビルテック社のロゴであること
    • トンガリ帽子はGPSのアンテナであること

JR東日本ビルテック社は、2018年の売上高706億円、1700の駅を「管理」している企業だそうです。駅や駅ビルのメンテナンス、エネルギーマネジメント、リニューアル工事などが業務の中心のようです。たとえば、駅のホームに上から吊り下げられているモニタ(ITV装置というのだそうです)とか、駅名が表示されているパネル(電照式駅名標というのだそうです)など我々の目につく装置はこの会社の「対象設備」なのでした。駅のホームの屋根(旅客上家というそうです)なども対象設備なだけに

    • 赤外線カメラ、ファイバスコープ、ドローン等による点検

も実施。駅ビル、エキナカなども管理しているので

    • BEMS(Building Energy Management System)

も担当。つまりデバイスビジネス開拓団でも関心の深いテクノロジー分野を取り扱っていらっしゃります。ホームページから1文引用させていただきましょう。

「ICT・IoT活用推進」の一環として、AIの導入を進めてまいります。

いやあ、当方IoTやらAIやらの投稿をしておるというのに、このような会社をノーマークであったとは、モグリと言われてもいたしかたありますまい。しかし、その会社がGPSのアンテナをホームの端に設置しているのは何故?技術的には、多分、

RTK GPS

の基準局(地上固定局)を構成するためのアンテナではないか?と想像しました。(DGPSの基準局という線も捨てきれません。10年位前に土木の現場でDGPS使っているのを目撃した経験あり。が、今時であればRTKかと)

RTK = Real Time Kinematic

基準局と移動局が同じGPS衛星からの搬送波を受信し、基準局と移動局の距離を波長の整数倍+余りで測定する技術であります。(参考文献:吉田著 トランジスタ技術2019年2月号別冊付録 1cmピンポイントGPS RTKスタートアップ・マニュアル)最小分解能0.744mm、実力的には1cm以内の誤差だそうです。

うーむ、トンガリ帽子がGPSアンテナであったことが判明し、半分スッキリ。しかし、何に使っているのでしょう、駅の構内で。うーむ、新たな疑問がわいてしまった年の暮れであります。

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