お手軽ツールで今更学ぶアナログ(64) ダイオード1N914の温特つかって温度をセンス

Joseph Halfmoon

「アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』を初回からすべて読む」は、2019年11月号です。ようやくちょうど2年遅れまで到達。今回はダイオードの順方向電圧の温特使って、温度差を検出せよ、みたいな件。このところページ数多くて「詰め込み教育」だったんですけど、急に薄くなったです。どうした?何か心変わりがあったのか。こちらはお楽なので薄い方が好きだけれども。

記事(日本語)のURLをまずは貼り付けさせていただきます。「恐れ多いけれども」とか言いながらブツクサ書くようなことは、今回ありませんでした。良かった。

温度差を検出するセンサー回路

また、末尾の問題の解答編も期待通りの内容で普通にありました。

November 2019 StudentZone Quiz Solution

例によって、アナデバ社の連載は、アナデバ社製のお手軽学習用計測ツール ADALM2000を使い、アナデバ社の部品キット ADALP2000 所蔵の部品を使ってお勉強するというもの。当方、ADALP2000 は購入したのですが、ADALM2000は買っておらず、「ADALM2000によく似た」Digilent AnalogDiscovery2で代用しております。あしからず。

熱源と温度の測定

実験対象は1N914、小信号用の汎用ダイオードです。ADALM2000部品キットに4個入っているもののうち、2個をとりだし、一方をリファレンス(基準温度側)、一方をセンシングとして使用いたします。

今回温度がらみの実験なのですが、記事では明確に温度計は登場せず、とりあえず「室温=25℃」みたいな書きぶりです。唯一明確な温度として現れるのが、「可能であれば」測れということで登場する氷水使っての測定です。その時も温度計は登場せず「氷水=0℃」としてであります。

今回記事にないものをいくつか用意いたしました。一つが中華DMMとその付属の熱電対であります。冒頭のアイキャッチ画像に1N914と熱電対の先っぽの写真を貼り付けてあります。

熱電対というと必ず思い出すのが、大学のときにやった「脆性破壊」の実験です。低温にした金属片に熱電対を貼り付けておいて、所定の温度になったら、所定の高さに固定してある「オノ」を落として始点の周りに回転させて切断し、切断後のオノの高さから切断に要するエネルギーを測定したのです。今でも覚えていますオノの重さ27.5kg そして妙に熱電対のケーブルの長さが短く、温度を測定している目の前の空間を高速でオノが通り過ぎていくのがかなり怖かったです。閑話休題。

さて、熱電対で温度を測れるようにしたので(精度は?です。表示は1℃単位)、熱源も用意しました。といって小さな魔法瓶が2つ。一方に記事どおりの氷水、一方に熱湯を入れました。これでほぼほぼ0℃ちかくから100℃ちかくまでの温度範囲が測定可能となりました(?)

まあ恒温槽とかあるわけではないので、温度の設定もいい加減、測定もいい加減、こまったもんです(それは自分のせいだ。)ビニール袋に1N914と熱電対を入れて魔法瓶に浸している様子が以下に。

1N914_DUT

測定結果

まずは、室温25℃。意図せずエアコンのお陰でほぼ25℃達成。たまたまの熱電対読み値ですけれども。ダイオード2個はほぼ同じ温度の筈ですが、微妙にリファレンス側が高く、センシング側が電圧低いです。

t25続いて氷水に投入、数分待って「ほぼ」定常状態かというポイントで測定してみました。このときの熱電対側の読みは3℃。センシング側の電圧が高く、リファレンス側の電圧が低くなっています。一応、期待どおり。

でもね、昔、恒温槽に張り付いて温度と電圧みたいな測定していたことあります。温度って定常状態になるまで結構時間かかるのだよね。魔法瓶じゃ定常状態などは幻想だな。恒温槽のときは希望の測定を一日で終わらせたいので、設定後30分くらいで一定になったとみなして先を急いでました(試作だったし。それほどの精度必要なかったし。)またまた閑話休題。

t3次は熱湯、とはいえ、小さい魔法瓶で大分さめてます。熱電対読みで92℃。ここまでは、記事の設定にあわせて 10mV/DIV 設定で測定していたのですが、この温度になると振り切れてしまいます。致し方ないので、20mV/DIV設定に変更。

t92たった3点なのであんまり信用おけない温度特性は、

1.78 mV/℃

解答編での計算結果みると、1.9mV/℃ なので当たらずとも遠からず?ホントか。そんなんで良いのか。まあ、いいか、今回もやっつけで。

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