誘うPC98互換機(10) 当時のHDDはマイクロサイズ?

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当時(90年代初頭)のストレージはHDD/IFがSASI、SCSI、IDEの3種類、FDDが8inch、5inch、3.5inch。バブルメモリやカード型メモリ、CD-ROMなどはやっと出てきた頃です。98本体はSASIとSCSI型、FDDは私がPC98互換機を設計を開始する頃は5inchと3.5inchが中心でした。

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時代はストレージの発展も視野に入れなければなりません。FDDではさらにコンパクトな2inchサイズのものもあったりしました。また、HDDはメディアの交換が可能なもの、ダブルHDD、トリプルHDDなどがあり、RAIDも0から6まであるようです。RAID機能は当時のPC98本体はNXのような高級機にはあったものの、通常の家庭用PCには高値の花だったかもしれません。また、CD-ROMの登場はFDDへの不満を一部発展解消しました。当時、Windows3.1インストールでFDD15枚は限界でした。CD-ROMがあれば1枚ですみます。Windows95あたりからはCD-ROMに変わったように思います。

さて、PC98本体は当初はSASI型HDD(PC-9801-27)でした。ところで、基本はSASI型はSCSI型の下位互換でSASI型が基準通り動けばSCSI型にもつながるという仕組みです。2台の接続しかできない27ボードから、複数台接続が可能なSCSIボードであるPC-9801-55に変更されました。当時はANSI規格が採用企業にオリジナリティを許していた為、国内ではSASI基準で動いていても、実はSCSIモードとは相入れない環境だったのです。

また、エプソンチェックの様にセクターの一番最初にNECの文字列が入っていない場合は、動作ができないなどの仕様で提供されてました。要はNECとしては、自分の領域を勝手に汚染するなということでしょう。ただし、とあるメーカはNEC※※とNECもどきの名前を創作していました。

私のお気に入りの一品・内蔵型なのに簡単に交換が可能

PC98互換機にも3.5inch内蔵型HDDがありました。私が入社した頃にPC−386LSという機種があり、バックスペースから20M/40MバイトのHDDを出し入れできるスロットがあったことを思い出しました。

内蔵のHDDですが、外部から外す場合はバックポートのレバーを動かせば良く、複数台のHDDを用意しておけば交換も簡単にできるのです。写真はPC386LSを販売しているサイトから抜粋したものです。こんなのもエプソンのアイデアだったのでしょう。その後、PC98互換機の中にもこのスタンスを培ったものがありました。

しかしHDDの価格です。PC386LS本体が538,000円、20MHDD付きで673,000円ですのでHDDだけで135,000円しました。本体のおおよそ2割です。当時は高いものでした。従って1HDD買うだけで、なかなか複数台持てなかったと記憶しています。

<外伝>

前職では、企業向けIBM3370互換の富士通520Mバイトの14inch薄膜型(名称は「ミニ」ディスク)HDDというものも扱ってました。これを客先で19inchラックに数台設置するのです。1台2名で抱え重量オーバ(とにかく重かったです。) 設置時、電源がONになった場合の保護機能まであったのです。

現在のテラバイト級HDDなどの軽いこと、軽いこと!当時(90年代)のHDDが、「ミニ」に対してマイクロサイズなら現在のHDDはナノサイズでしょうか?

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