なんちゃって図絵(1) 半導体、n型、p型を描いてみる

Joseph Halfmoon

半導体とか電子デバイスの話になるとやたらムツカシー数式が登場。忘却力の年寄はついていくのが難しいデス。そこで本シリーズでは「数式なし」で「なんちゃってな図」と「ほんわかした説明」により、「ムツカシーことは一切言わない」で1歩一歩あゆんでゆこうと(どこへ行くんじゃ、我?)

半導体といえば、代表選手は「トランジスタ」です。今日のスマホやらパソコンやらに使われておる半導体部品の中には、数十億個もの「トランジスタ」が入ってます。数十億個入りでも数万円で買えるのはお買い得?

さて「トランジスタ」を1個1個見ていくと、「NチャネルMOSトランジスタ」とか、「PチャネルMOSトランジスタ」とか、「NPNトランジスタ」とか、「PNPトランジスタ」とか、いろいろ種類はありそうなのだけれど、必ずNかPかの文字がつきものです。今回はこのNとPに迫ります。ホントか?

世の中、一番フツーに売られている半導体製品は「シリコン」を材料にした半導体を使ってます。「純粋な」シリコンの結晶の様子を「なんちゃって」図にしたものが以下に。青丸は電子殿です。Intrinsic

シリコン(Si)原子の一番外側には電子が4個あり、それぞれが4本の手となっておとなり同士「握りあって」結晶を作っておると。コマケーことを言えば、上の図で丸で囲んだSiの中身にも、なんたら軌道とかに乗っかった電子殿が回っておられるのですが、そいつらは「関係ねえ」ので割愛してます。

また、当然結晶といったら3次元なので、上の平面的に描いた図は「うそっこ」です。実際は立体として描かないと。

さらにまた、上の図では電子がガッチリ着席していて動かない雰囲気ですが、実際には常温くらいの温度でもたまに席を離れてふらふらする奴もいるみたいです。少ないけど。

ここで、シリコン原子以外に、とりあえずホウ素(B)とリン(P)の原子を貰ってきます。それぞれ外側にいる電子の様子が以下に。B_Si_P

Bは3個しかないです。Pは5個あります。

さて、綺麗にビッシリとならんだSiの中にBを1個入れたらどうなる?positive_

Bは外側に3個しか電子を持たないので、1個空席ができると。しかし、その空席はテキトーに近くの電子を連れてきてみたしてしまうっと。すると電子が居なくなった空席が隣に移りという塩梅で、空席(正孔)というやつがフラフラするようになるみたいです。電子(マイナス)が居なくなったところなので見掛けはプラスです。もし外側に電圧をかけてやるとマイナス方向へ走っていくハズ。見掛け正の電荷をもった「粒子」的なやつが登場するので positive ということで p型半導体ね。

つづいて綺麗にビッシリとならんだSiの中にPを1個入れたらどうなる?

negative_

Pは外側に5個も電子をもつので1個着席できないあまりが出ます。Pの余りなので、計算上はPの近くに居そうな気がしないでもないのですが、ちょっと焚きつけてやったら、プイっとどこかに行ってしまいそう。もし外側に電圧をかけてやると電子はマイナスなのでプラス方向へ走っていくハズ。負の電荷が登場するので negative ということで n型半導体ね。

BとかPとか、不純物原子をテキトーに選んだ感がありますが、昔ならった周期表をみるとその理由が分ってきます。以下は周期表の一部だけ切り取ったもの。

第13族 第14族 第15族
第2周期 B C N
第3周期 Al Si P
第2周期 Ga Ge As

真ん中の第14族は、外側に電子4個の原子の一族。シリコン(Si)の下には、ゲルマニウム・ラジオでお馴染み?のゲルマニウム(Ge)もおりますぞ。左側の第13族は外側電子が3個の一族。下の方にはガリウム(Ga)などもおりますな。また右側の第15族は、リン(P)の下はAs(ヒ素)です。危ない奴だけれども有用?

左右の列の元素を、それぞれアクセプタ、ドナーなどと呼ぶみたい。「不純物」って呼ばれるけれども、それは意図せず混入した不純物ではなく、半導体をn型、p型にするために意図して(かつ厳密に濃度を制御して)混ぜられる微量元素です。スパイスみたいなもんか?

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