お手軽ツールで今更学ぶアナログ(184) レールツーレールと普通のオペアンプの振幅を観察

Joseph Halfmoon

アナデバ社(ADI社)のWeb記事『StudentZone』の和文版、昨年までは英文版の翌月末更新だった筈が、すでに2月号の和文版がリリースされていることに気づきました。後の祭り。月末だと思い込んで「進捗同期(埋め草ともいう)」記事を準備済。まあいいか。最近生成AIばかりで手を動かしてなかったので反省。実機の観察。

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レールツーレール

「レールツーレール」とよばれる特性をもったオペアンプがあり。最近の低電源電圧で動くようなオペアンプに多いじゃないかと思います。それに対して従来のオペアンプは「レールツーレール」ではないものが多いです。「フツー」のオペアンプの場合は曰く、

    • 入力信号は正負の電源電圧ギリギリまで入力してはいけない
    • 出力信号は正負の電源電圧ギリギリまでは出力されない

という決まりであります。上記に対して入力信号を正負の電源電圧ギリギリの電圧まで入力でき、出力信号は正負の電源電圧ギリギリまで出力されるようなオペアンプをさして「レールツーレール」と唱えるわけであります。まあギリギリといって完璧にイコールということではなく、数十mVくらいは許してね、ということだったりもするわけですが。また、入出力ともにレールツーレールという場合もありますが、出力はレールツーレールだけれど入力はそうじゃない、とか「いろいろ」事情があったりもします。

今回は、フツーのオペアンプの代表として老人が愛してやまないOP07、レールツーレールのオペアンプの代表として別シリーズの過去回で壊しかけたAD8656をピックアップ。その波形を実機で愛でてみます。勿論測定はDigilent Analog Discovery2であります。

まずはLTspiceシミュレーション

生成AIのGemini様も回路を動かすにあたっては「まずシミュレーション、それから実機確認」とおっしゃってます。ま、当たり前か。そこでLTspiceでシミュレーションしてみるための回路が以下に。OP07_AD8656_DUT_Circuit

どちらもボルテージ・フォロワ回路になっているので、入力信号がそのまま出力に現れるようになってます。ただ、AD8656は低電圧動作のデバイスなのでプラスマイナス2.5V電源、OP07はもっと高い電源電圧まで動くのですがAD2の電源の都合上プラスマイナス5V電源で使用としてます。両方にそれぞれの電源のレールツーレールまで振れる三角波(周波数100Hz、オフセット0V)を与えてその波形をみてます。結果が以下に。上がOP07の波形(入力が黄緑、出力が赤)、下がAD8656の波形(入力と出力が重なってしまっている、出力がピンク。入力は水色の筈だかまったく見えない。)OP07_AD8656_SIM

 

まあシミュレーションの挙動は期待どおりと。

なお、AD8656ですが、LTspiceのデフォルトにはモデルが含まれてません。おっと。アナデバ社の製品ページAD8656からモデルをダウンロードして使っています。モデルを適当なフォルダに配置し、.includeした後、汎用のシンボル opamp2 を配置した上で、以下のようにお名前を設定してやらないとなりません。ちょっちメンドイ。AD8656MODEL

実機動作を観察

実機動作の観察につかったDUTが以下に。小さいブレッドボードに刺しただけ。OP07_AD8656_DUT_ECさて、まずはOP07の時間波形。黄色C1が入力、青色C2が出力です。上下ともシミュレーションより「頑張っている」感じがします。OP07_TIM

X軸に入力信号、Y軸に出力信号を取った「DC特性」プロットが以下に。上下でサチっておる感じがでとりますなあ。OP07_DC

一方、AD8656の時間波形が以下に。下の方は出力波形が入力波形に重なっているので入力が見えないっす。でも上の方は出力波形の頭の上にチラリと入力の黄色のところが見えとるようです。AD8656_TIM

そのくらいはしかたないだろ~。

DC特性が以下に。AD8656_DC
ほぼほぼ直線。頭のところちょっと凹んでいるように見える?微妙ということで。

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