誘うPC98互換機(5) GDCだけではなくEGCもある

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新機能にEGCがありました。この情報はNECからオープンになっていなかったようです。これを見つけ出したエプソン探索チームは賞賛にあたいします。ソース・ディストネーション方式のコピー機能です。画面を分割コピーする時、絶対アドレスはCPUから直接設定、Read_Modify_Writeを駆使してコピーするのです。

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EGC(Enhanced Graphic Chager)は、例えばWindowsやCADでの利用が一般的です。モードとしては、フォアグランドカラー、バックグランドカラーおよびパターン入力もできます。ほとんどはコピー機能(フォアグランドカラーのみの利用)のみで、モデファイ時には特定のBITのみをマスクする機能が有効です。これ以外にもありますがほとんど使われません。また、GDCに互換モード(8BIT処理)もありますが(マスク機能なども持っていますが)、一部のゲームを除きほとんど使われていません。

コピーの例を示します。下図のSBA(0〜15)とDBA(0〜15)、BIT長が決まれば行毎のコピーは簡単にできます。要はEGCの機能はこの部分のことで、行管理はCPUが行うものです。ソース・ディストネーションはソースを壊すことなくコピーがしなくてはなりません。また16ビット処理ですから、8ビット処理と比べて倍の速度となります。さらに4プレーン同時に制御しますので、簡単に言えば、最速8倍のアップを図っています。

図面は1マスは16 BIT長のデータの並びと考えてください。ソースの下位数(例えば3ビット)をディストネーションの最初にコピーするとした場合、SBAは13となります。また、DBAは7とすれば、下記の図式の通りにモデファイBITが決定します。シフターの値は13-7ですから、6BITのシフトです。2回ワードも6BITのシフトで、マスクビット可能となります。3回目以降は一部省略します。

上図と下図からソースとディストネーションは縦方向に2系統あることがわかります。始点が異なるのので、CPUからの値の設定に注意が必要です。

同一のラインのモードでは、ソースを壊さない様に逆方向の指定もあります。*2

コピーに際して、横幅は重要な位置付けです。例えば、本件図1で、 ビット長が48ドットだとすると、初めの3ビットと6ビットをコピーするところは既に解説しています。16ビットの2回も推して知るべしです。さて、最後の部分はDBA (7)+ビット長(48)ー16ビットX3で7ビットです(下図における7回目のコピー)。仮にビット長(53)の場合だとと異なる結果で、同様の計算式では12ビットです(下図における7、8回目のコピー)。ビット長が48ドットだと1回、53ドットだと2回コピーが行われます。

コピー機能を中心に話ました。その他の機能もアプリケーションの発展と共に使われる様にはなりますが、登場時点ではまだちょっと早すぎた技術だったのかもしれません。

<外伝>

よく、同僚と(立川ではなく)、八王子の飲み屋に通いました。その際に、「嵐を起こして♪」とカラオケでは工藤静香が歌が流されていました。どこへ行っても静香です。最近は、工藤静香の履歴を聞くとあの頃を思い出します。

私がPC98互換機の話しをしはじめたのも、この頃の他の技術力(NHKスペシャルでやっていた「電子立国日本の自叙伝」)が素晴らしく、懐かしく思えています。また、昨今の若い世代でも、この頃のPC98本体や互換機のことを思い浮かべる人が多いのも気になるところです。

半導体の歴史上、日本の輝かしい時代だったと言うことを思っています。昨今の国際情勢で、半導体がまたまた日本の本土に戻ってくる時代になりました。こんなところも左右していますかね?

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