お手軽ツールで今更学ぶアナログ(177) AD2のオーディオ出力にヘッドフォンアンプを追加

Joseph Halfmoon

第174回でAnalog Discovery2の裏側面にあるAudio出力についてちょいと調べてみました。AWG出力をステレオの音声信号にして3.5mmのミニプラグに出力することが可能です。今回はそのオーディオ出力の先に電池駆動のヘッドフォンアンプを接続してみます。スイッチ付のボリュームで音量調整できるものです。

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今回接続のヘッドフォンアンプ

今回使用したヘッドフォンアンプを冒頭画像に掲げましたが、ちょっと変わった回路です。秋月電子通商殿製の一品。通販ページへのリンクが以下に。

74HCU04使用 ヘッドホンアンプキット

7404といえば言わずと知れたロジックIC、6回路入りインバータです。それを使ってバリバリのアナログ信号であるオーディオ出力をアンプする回路です。そのミソは使用しているICが「HCU」であることです。普通のCMOS、HCではなくて、HCU、「アンバッファ」タイプと言われているやつ。これこそ余計なものが付いていない「シンプルなCMOSインバータ」なんだけれども。0と1だけを素早く安全に通すためにバッファを入れて小細工をかませている通常の「HC」とは違い、「HCU」の素直なインバータにフィードバックをかければアナログのアンプとしても使えるのであります。発振回路でも使うし。ロジックICの内部などでもセンスアンプなどの回路作るのに「よくやる手」じゃないかと思います。そしてこの回路なら乾電池2本で十分動くのだなあ。

実際、パソコンのオーディオ出力を入力に接続し、ヘッドフォンを出力に接続してYouTube視聴してみましたが、結構な音で鳴っておりますぞ(オーディオ素人の耳も悪い老人の言うことなので使うときは自分で調べてちょ。)

ワンパッケージにインバータ6回路入りなので、R,Lにインバータを3個づつ割り当て、初段のインバータで3倍増幅、2段目は2個並列に使ったボルテージフォロワで電流を流し出せるようになってます。

以下はAD2のAudio出力に出力した波形をアンプしたときのもの。先っぽには以前の回で約80Ωとインピーダンスを測ってあるヘッドフォンを接続したときの波形です。黄色AWG1がR、青色AWG2がLです。AWG1出力設定は440Hz、オフセット0V、振幅1V。AWG2出力設定は1kHz、オフセット0V、振幅1Vです。なおヘッドフォンアンプのボリュームはMAX側です。AD2_1V_AMAX

ヘッドフォンアンプの特性

ヘッドフォンアンプの入出力そのものも測ってみました。以下はAWG1から440Hz、オフセット0V、振幅500mVの波形を入力しC1で観察。C2でヘッドフォンアンプの出力を観察したもの。AD2_500mV_MAX_NOLOAD

アンプしてますな。増幅率は3倍にはとどかず約2.4倍くらい?

周波数特性も測定してみましたぞ。AMAX_BODE

100Hz付近から20kHz付近まで、ゲイン、位相ともにフラットな感じ。実験に使うには良いのでないかい。

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