部品屋根性(115) 年末の大掃除で発掘されたパワーMOSFET、R5009FNX

Joseph Halfmoon

別件シリーズでハーフブリッジフルブリッジの駆動波形を生成、でもブリッジ回路を作るのに向いた「パワー」系デバイスが手元に無いな~と思っていたのです。しかし昨年末の大掃除で発掘されてました。パワーMOSFETが。10年以上眠っていた一品。今回はとりあえず「小信号用」の測定環境にてDC特性の端っこをちょいと確認。

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雑誌の付録にトランジスタがついていた

年はとうに明けてますが、年末の大掃除で発掘したシリーズ第3弾?であります(第2弾はこちら。)

発掘されましたのは、以下に奥付を引用させていただく約12年前のご本であります。GreenElecNo8

ぶっちゃけ、上記タイトルを見ただけでは「具体的に」何だか分かりませんが、その中心にあるのは、Rohm社のパワーMOSFETデバイスなんであります。耐圧500Vの品種みたいです。製品ページが以下に。

R5009FNX 10V駆動タイプ Nch MOSFET

上記ページから残念なお知らせを一か所引用せざるを得ません。

新規設計非推奨

おお、12年の年月はこのデバイスを過去のものとしていたようです。まあ、代替品として R6009KNX という品種が挙げられているみたいです。知らんけど。

AD2のカーブトレーサーでDC特性測定

さて、このR5009FNXの「売り」は「スーパージャンクション」MOSFETでありながら「ボディ・ダイオードの逆方向回復時間が短い(アナログ素人の年寄が知ったような口で注釈します。MOSトランジスタの存在の裏側に必然的に取りついているダイオードを流れる電流を逆転しようとしても既に流れている奴らがいるので電流は急には止まらない。そのスイッチしようとしている方向とは逆方向の流れによってスイッチングに遅れが生じる現象あり、それを小さく抑える工夫をしました、という感じ)」だそうな。だから、このデバイスの売りの部分を調べるにはスイッチングして動的な波形を観察し、AC特性をみないといけまへん。

しかし、直ぐにはテスト回路を準備できないので、以前にやってみている以下の回を参照して、DC特性を見てみることにいたしました。

部品屋根性(103) MOSFET、BSS138、DC特性を測ってみる

しかし、これとて上記は小信号用のMOSFET相手で、パワー系相手だとちょっとレンジがあわないかもしれないです。例によっていい加減な測定の様子が以下に。まあ、お茶を濁す程度だからいいか。R5009FNX_DC_DUT

まずは、Id/Vds特性からです。このデバイスはゲートに10Vを加えて制御することを想定してます。そのときにドレインーソース間に流れる電流はアンペア単位です。しかしAD2のカーブトレーサーはゲートに10Vを加えることもできなければ、アンペア単位の電流も流せませぬ。できる範囲で取得してくれたらしいグラフが以下に。R5009FNX_Id_Vds

ゲート電圧3.5Vでは「ちゃんとON」した状態にはほど遠く、ゲート電圧4Vのときに辛うじて「ONしているみたい」上記グラフを以下のように拡大して値を読み取ってみます。横方向がVdsなので、Vds=25.602mVのときにIdsは32mA流れておりますな。R5009FNX_Id_Vds_2

VをIで割れば抵抗が求まると。約0.8Ω。データシートの数値的にはOKな感じ。

もう一つ Ids/Vgs特性のグラフで閾値を見てみます。R5009FNX_Id_Vgs

確かにVgs=4VならONしている感じか。

お茶は濁せたのか?

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